2001 Fiscal Year Annual Research Report
『朝鮮王朝実録(李朝実録)』に見る李朝仏教史の研究
Project/Area Number |
12610023
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Research Institution | Hanazono University |
Principal Investigator |
中島 志郎 花園大学, 文学部, 助教授 (40268123)
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Keywords | 李朝実録 / 李朝仏教 / 文定王后 / 普雨 / 中宗 / 明宗 / 仁宗 / 明宗実録 |
Research Abstract |
本年度は、朝鮮時代の仏教の動向を『李朝実録』に収める具体的事例に沿って追求することに主眼を置いた。主な研究成果としては、去る平成十三年十月七日、身延山大学において開催された「日本仏教学会」に参加し、「李朝仏教の一断面-文定王后と普雨-」という論題で研究発表することができた。その内容を概観すると、即ち、文定王后(1501-1565)は中宗の第二継妃であったが、継妃章敬王后を排してからは実権を握り、排仏政策をとった歴代朝鮮王朝の中で、例外的に仏教信仰を復興させたことで知られる。その文定王后に登用された僧侶が普雨であった。論文では、中宗没後の仁宗即位(1545)、そして八ヶ月後の明宗即位(1545)と同時に始まる文定王后の実権掌握から、普雨の登場(1550)と仏教復興策の推進過程、更に文定王后没後、直ちに始まる儒臣たちの激しい普雨排斥運動などを『明宗実録』によって克明にたどることができた。その膨大な量の記事の収集は決して順調ではなかったが、明宗時代の仏教の動向を探る基礎資料としての成果はあげられた。『明宗実録』については引き続き、将来の研究の為の基礎資料として、仏教関連記事を中心に、データー入力に取り組み、データーベース化の為の基礎作業に取り組んでいる。また、今年も韓国ソウルに於ける資料収集と調査が実施でき、最新の研究動向を掌握できたことは大変有意義であった。また「高麗中期禅宗史研究」を収録した国際禅学研究所の研究報告の第七冊『禅門宝蔵録の基礎的研究』を刊行できた。拙稿の高麗大蔵経に言及した部分は、朝鮮時代の仏教とも密接な関連を持つ大蔵経伝播の前提的了解となるのである。
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Research Products
(1 results)