2002 Fiscal Year Annual Research Report
新入学児における潜在的カリキュラムの習得と定着の過程
Project/Area Number |
12610130
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
有馬 道久 香川大学, 教育学部, 教授 (10151185)
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Keywords | 新入学児童 / 潜在的カリキュラム / 学級づくり / 教室ルール / 教師-児童コミュニケーシ |
Research Abstract |
本年度は,昨年度の観察記録のうち分析できなかった3学期分のビデオ記録(朝の会11日,授業13回)の追加分析と一昨年度の授業記録の再分析、および3年間の研究のまとめを行い,研究成果報告書を作成した。昨年度の観察記録については,「ある新入学児童の教師・他児との関係性の変容と学級集団過程」というテーマで検討した。1,2学期分の観察記録もあわせて検討した結果,焦点を当てた2人の児童(ADHD児と集団保育未経験児)に対する教師の対応の内容はほぼ同じであるが,対応の時期が異なること,2人を特別な児童として扱うのではなく,学級集団の中に入れることで,全員の学びが深まると考えた対応をとっていたことなどから,教師や他児との関係性の変容過程,それをもとづく学級集団の形成過程,Jackson(1968)のいう潜在的カリキュラムの基礎学習としての「我慢すること」の存在を明らかにした。また,一昨年度の授業記録については,小学校1年生1学級の担任教師と児童を対象に,第1期(4月から5月初旬),第2期(6月下旬から7月下旬),第3期(11月)の授業記録をもとに,「号令係に関するルール」と「聞き手の姿勢に関するルール」について,「小学1年生における教室ルールの習得と教師の支援」というテーマで再分析を行った。その結果,児童は,ルールに内在する小ルール,たとえば「早く号令をかけるべきだ」という小ルールと,「皆ができるまでじっと待つべきだ」という小ルールの葛藤を調整しながらしだいにルールを学習していくこと,教師も初めは具体的な詳しい説明をし練習させるが、しだいに「児童が自分で状況に合う判断をし、行動する」ことを重視した支援に変わっていくことなどが明らかになった。
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Research Products
(1 results)