2000 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカの教育改革における教員評価・教員資質向上の施策と成果に関する研究
Project/Area Number |
12610253
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
榊 達雄 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (10022401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 哲彦 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 助教授 (40221444)
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Keywords | 教員評価 / 教員の資質向上 / 教員免許状制度 / メリット・ペイ / キャリア・ラダー / SBM / 教職の専門性 |
Research Abstract |
平成12年度においては、第1に、1980年代以降のアメリカの教育改革における教員評価・教員資質向上に関する、アメリカ雑誌論文・著書の収集に努めた。第2に、ニューヨーク州のロチェスター大学において同事項に関する資料を収集するとともに、同大学の専門家から同事項に関する知見を得た。第3に、収集した資料や知見について、日本の教員の在り方との比較の観点から検討を加えた。その一端を示せば、以下のとおりである。 アメリカでは、教員免許状は各州によって授与されるが、州によっては免許状の更新制を採用し、終身免許状制を廃止する傾向がある。このことについて、教職の専門職化にとって有益であるとする見解が見られるが、日本でこの更新制の採用が可能か否かは、議論の余地があると言える。アメリカには、多くの種類の教員(能力)テスト、および教員の勤務評定に基づくメリット・ペイやキャリア・ラダーがあるが、これらについては評価が分かれている。アメリカ教員組合(AFT)は批判的である。しかし、全米教職基準委員会(NBPTS)による優秀教員の認定については、AFTも好意的である。教員テストやメリット・ペイ等は、多くの教員の資質向上に必ずしもつながらないが、優秀教員の認定は教員資質向上に有益であるとするのである。このことは、注目してよい。学校を基礎とする経営(SBM)においては、父母・住民、教員、さらには生徒からなる学校協議会が学校の目標、カリキュラム、予算執行計画等に関する権限をもつため、一見するとSBMは教職の専門職化と矛盾するように見えるが、必ずしもそのように把握されていない。また、SBMの下でも、教員組合は団体交渉を必要であると考えている。SBMとの関係におけるこれらのことは、さらに深めるべき論点の一つである。
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Research Products
(2 results)