2000 Fiscal Year Annual Research Report
中国の少数民族教育におけるウイグル民族のアイデンティティ
Project/Area Number |
12610313
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
藤山 正二郎 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (30113244)
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Keywords | 中国 / ウイグル民族 / 少数民族 / 家族 / 婚姻 / イスラム / 教育 |
Research Abstract |
平成12年9月21日から10月10日まで、中国・新疆ウイグル自治区において文化人類学的調査を行った。今回はウイグル民族の教育が村落など共同体レベルでどのように行われているかに主眼を置き、彼らの伝統的な共同体であるマハッラの機能を家族、婚姻、宗教など基礎的な観点からの調査を、新疆の南部、地区としてはウイグル人の人口比率が最も高いホータン郊外の農村において行った。 家族は夫婦家族であり、人口政策による家族計画の締め付けにも関わらず、農村部では子供は労働力になるという理由で多い。子は長男から結婚すると独立していき、末子が親の面倒を見るという末子相続が多い。祖父母なども同居するよりは近くに住むという形態をとり、同じマハッラに親戚(いとこまで)が多いことになる。 婚姻に関しては、結婚年齢が13歳ぐらいとかなりはやい。いまでも、親戚の紹介などで親が決めることが多く、結果として離婚が多いことになる。早婚ということもあり、親としても最初の結婚は、離婚で終わっても仕方がないと思っている。結婚しないのはよくないが、離婚はそれほどの悪いことではないと思われている。子供ができないとすぐ離婚するケースが多い。 村での大きな問題は宗教問題と教育問題である。宗教に関しては民族対立があり、確認はできないが武力衝突もあったということである。それはいわゆるイスラム原理主義のよるものであり、当局としてはイスラムにのめり込むような事態を避けたい。しかし、憲法に信教の自由があり、習慣としてのイスラム信仰にとどめたいと考えている。 教育では小学校で10%、中学校で20%の欠席率がある。こどもを農作業その他で労働力として考えている親がいるためである。 また調査のほかに、北京で中央民族大学、ウルムチで新疆大学、新疆師範大学を訪問し、研究者と意見交換をした。
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