2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610470
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩佐 昌あき 九州大学, 大学院・言語文化研究院, 教授 (60136546)
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Keywords | H / Gモデル / 光明と暗黒 / 現代文学史 / 当代文学史 / 賛美と暴露 / 新時期文学 |
Research Abstract |
1.研究の目的 中国現代文学の時期区分は、従来政治史(新民主主義革命史と社会主義革命史)を基準にして行われてきた。これに対し本研究は文学独自の立場に立って、政治史的時期区分とは別に「文学創作の発想法」を軸に時期区分した文学史モデルを作り出そうとした。 2.本年度の研究によって得られた知見 今年度第3年目は中華人民共和国成立後の文学の主要な発想様式を検討した。当初の予想は現代文学を一貫して流れる支配的な発想法は「暗黒に打ち勝ち、光明を求める」というものであり、この発想は中華人民共和国成立後も影響力をもった、というものであった。すでにこの発想を「暗黒(中国語でheian)光明(中国語でguangming)モデル」(H/Gモデルと略称)として定式化し、これに基づいて検討をすすめてきたわけだが、今年度の研究でこの発想が1980年代初期までは基本的に影響力を持ち続けたことを示すことができた。ただ、この発想がなぜ影響力をもたなくなったかについては仮説以上のものしか提示できなかった。また、この文学史モデルは左翼文学については妥当であるが、20年代の非左翼文学には限定的な適用しかできないことも明らかになった。これらの点は研究成果としての弱点である。現在報告書執筆中。 3.本年度の研究活動 今年度は中国の学会で報告したが、その際中国の研究者からもレビューを受け、趣旨に賛意を得た。また、論文1編を書き、さらに西日本新聞文化サークルにおいてこのモデルを使って現代中国文学史を紹介する市民講座を2回行った。
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