2001 Fiscal Year Annual Research Report
1950年代アメリカの文学と文化におけるポストモダニズムの形成過程
Project/Area Number |
12610477
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮本 陽一郎 筑波大学, 文芸・言語学系, 助教授 (70166205)
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Keywords | ドロシア・ラング / ポストモダニズム / 1950年代 / アメリカ / ショック療法 / フィルム・ノワール / SFホラー映画 / スペクタクル映画 |
Research Abstract |
本年度は、2002年4月刊行の拙著『モダンの黄昏-帝国主義文化の改体とポストモダニズムの生成』(研究社)のための最終的な作業を行った。これは2000年12月に本学に提出した博士論文を母胎とするものだが、第7章と「あとがき」を新たに書き下ろし、終章を全面改訂した。ドキュメンタリー写真家ドロシア・ラングを論じた第7章では、この写真家に関して論じられる機会の少ない1950年代の作品群にも注目し、そこで1930年代的な民衆表象が、ポストモダニズム的な主体の分散に接合していくプロセスを明らかにした。いっぽう終章では2001年9月11日のテロ事件に言及しつつポストモダニズム論の今日的な視野の在り方について論じた。 同書の改訂を経た終章と、2002年3月末刊行予定の論文集『アメリカ文学とテクノロジー』(筑波アメリカ文学会)に寄稿した「ショック療法時代の文学と文化」により、本研究の基幹となる議論を発表し終えたことになる。 以上と並行し、昨年度導入した機器を用いつつ、1940年代フィルム・ノワール、1950年代のSFホラー映画および聖書に取材したスペクタクル映画について基礎研究を行い、その成果を本学大学院博士課程の「映像文化論」において提示し、参加者から有益な反応を得ることができた。これにより、本研究を最終的に刊行する際の映画研究に関わる部分の全体像がほぼ完成したことになる。
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Research Products
(1 results)