2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本語・中国語・韓国語の外来語音韻データベース構築と音韻構造の定量的対照研究
Project/Area Number |
12610548
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
SANDERS ROBERT 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (60311552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉本 啓 東北大学, 留学生センター, 教授 (50282017)
佐藤 滋 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (40137592)
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Keywords | 外来語 / データベース / 言語体系 / 対照研究 / 概念移入 / 定量的 |
Research Abstract |
研究代表者は、長年の英語話者への中国語教育の経験から音声教育の重要性と困難さを熟している。例えば、英語話者にとって英語からの中国語への借用語の発音と聞き取りは極めて難しいものである。この観点から、CD-ROM辞書の編纂の過程で、中国語への外来語データベースを作り、中国語の音韻体系の正確な把握と英語音移入の際の中国語音の予測の可能性を探ってきた。一方、研究分担者(佐藤)は、これまでに日本語と韓国語の辞典からの英語由来の外来語の大量収集、そのデータベース構築を行ない、両言語の音韻構造の定量的な対照分析を行なっている。今回の共同研究では、申請者らの構築した日本語、中国語、韓国語のデータベースを基盤として、英語音の移入による音変化をそれぞれの音韻体系の中で処理される過程として大量データでの裏付けを伴った形で明らかにする形でまとめることができた。 日本語では、広範囲に英語からの外来語がそのままの音形で受け入れられ、外来語辞典に比較的容易に取り入れられる傾向があるが、この傾向は、韓国語ではそれほどではなく、中国語になると更にこの傾向は稀になる。外来語は、意味的に翻訳された形での概念移入が中国語ではより一般的である。このため本研究では、外来語が容易に音形で借用される傾向が3言語でほぼ均一と思われる商品名、広告類などの分野での外来語収集を重視し、これらについての母語話者の音声データの収集後、音声分析によるラベリングを行ない、データベース化をおこなった。 これまでの外来語の研究では、社会言語学的な現象も含めて日本語について記述的に研究したもの、自然音韻論の観点から借用の際の音韻変化を探ったものなどが存在するが、データの量とデータベース構造を基盤とした3言語の定量的な対照的研究は、これまでに見られず、本研究の特色となっている。この研究によって、これらの言語の音韻体系が、数字に裏付けられ、相互に対比可能な形で記述できるようになっている。
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[Publications] Sanders, Robert: "台湾式標準中国語と台湾福建方言の認識表現に関する認知・社会言語学的一考察"国際文化研究科論集(東北大学国際文化研究科). 第9号. 169-181 (2002)
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[Publications] Sato, Shigeru et al.: "Brain Activation Associated with Grammatical Functions, Subject, Object and Verb"東北大学留学生センター紀要. 第6号. 1-9 (2002)
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[Publications] 佐藤滋他: "母語話者の類似度評価に基づいた助詞「で」の計量的意味分析"東北大学留学生センター紀要. 第5号. 19-27 (2002)