2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12620064
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河野 正輝 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (70032703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安立 清史 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (40192968)
伊奈川 秀和 九州大学, 大学院・法学研究院, 助教授 (90304708)
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Keywords | 権利擁護 / 内部アドボカシー / 基礎的必需的アドボカシー / セルフ・アドボカシー / NPOによるアドボカシー |
Research Abstract |
1.英・米の先進的な権利擁護システムを明らかにするため、イギリスの保健省社会サービス監査局、障害者権利委員会、ハートフォードシャー県社会サービス部等のインタビュー調査を実施するとともに、アメリカのボストン大学K.J.マホーニー教授、カリフォルニア大学A.ムーン教授等とのワークショップを実施した。 2.調査の結果、得られた知見として、権利擁護のための仕組みには、第1に、擁護者の立場の相違により、サービス提供の内部(inside)の権利擁護と外部(outside)のそれがあり、第2に役割の相違により、広義の権利擁護と狭義のそれがある。第3に狭義の権利擁護は、その担い手(主体)の相違により、(1)法制上の義務または権限に基づく公的機関・民間団体(直接間接に公的機関が関与する)によるものと、(2)法制上の義務に基づかないボランタリーな個人・団体によるものと大別される。このうち、(1)の公的機関が直接間接に関与するものは、権利擁護活動のなかでも基礎的、必需的なもので、一般的に整備する必要のあるものに限られる。そういうものとして判断能力が不十分な成年者を保護するための成年後見制度および苦情が生じた場合に、事後的に解決を図る苦情解決の手続きが挙げられる。 一方、(2)の法制上の義務に基づかない純粋にボランタリーな個人・団体によるものは、(1)セルフ・アドボカシー(self-advocacy)、(2)ピア・アドボカシー(peer advocacy)、一般市民のボランティアによるアドボカシー(citizen advocacy)、および(4)専門家によるアドボカシー等が挙げられる。 権利擁護(アドボカシー)活動が発展しているアメリカやイギリス等では、NPOなどの形態をとる独立組織がめざましい成果を上げており、これらの民間団体にさまざまな公的・私的助成金が与えられていることも注目される。
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[Publications] 河野正輝: "社会福祉士の権利擁護の役割"『社会福祉士要請講座12』中央法規. 35-40,57-60 (2001)
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[Publications] 河野正輝: "実施1年の介護保険と市民オンブズマン-新しい市民社会の権利擁護活動として"進歩と改革. 594. 19-34 (2001)
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[Publications] 河野正輝: "権利擁護の仕組み作りと日本の課題"『ニューエイジング-日本の挑戦と課題』九州大学出版会. 96-101 (2001)
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[Publications] 安立清史: "介護保険とNPO"介護保険情報. 34-40 (2001)
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[Publications] 安立清史, 小川全夫編: "ニューエイジング-日本の挑戦と課題"九州大学出版会. 34-40 (2001)
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[Publications] 河野正輝: "講座社会保障法第1巻-21世紀の社会保障法"法律文化社. 3-34 (2001)