2001 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における国際関係用語の文化触変―韓国との比較
Project/Area Number |
12620098
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
平野 健一郎 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (40012463)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 東蘭 愛知県立大学, 外国語学部, 助教授 (00315871)
金 鳳珍 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (90254614)
古田 和子 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (20173536)
川村 陶子 成蹊大学, 文学部, 講師 (80302834)
|
Keywords | 近代日本 / 国際関係の基本概念 / 概念史研究 / 文化触変 / 国際社会 / 市場 / 万国公法 / 自治 |
Research Abstract |
本研究は、明治維新以後の日本の国際関係を根底において規定したと考えられる近代国際関係の基本概念が、当時、用語としてどのように用いられ、どのように変化していったかを、概念史研究(Begriffsgeschichte)の方法によって明らかにすることを目的とした。2年度目の今年度は、研究分担者および研究協力者がそれぞれ特定の用語を担当し、その用法の歴史的変化の分析を進めた。用語の担当は、「国際社会」-平野、「市場」-古田、「万国公法」-金、「自治」-黄、「文化」-川村、「主権」-藤田雄二(研究協力者)、「人権」-須藤瑞代(研究協力者)であった。具体的な研究を進める過程で、非欧米の国々にとって、近代国際関係の概念史とは個々の概念の文化触変の歴史にほかならないという確信を強めたので、概念史研究の方法と併せて、本研究課題の代表者が発表した文化触変の方法をも用いることにした。 具体的な方法の第一は、さまざまな辞典で該当項目を年代順に調べるという方法である。たとえば「国際社会」の「国際」が日本の国語辞書に登場するのは1890年前後である。そして、1940年代までの長い間、「国際」は「国家と国家の際」と定義され、今日のわれわれの用法である「国際社会」が辞書に登場することはなかったことが確認される。他の用語についても、同様に、辞書上の変化を辿った。 第二の方法は、各時代の代表的な発言者がそれぞれの用語をどのように用いたかを確定することである。第三の方法は、より一般の杜会による用法の変化を見ることである。こうした方法を用いる研究は当然、膨大なものになり、本研究課題の実施によっても、調査は緒についたばかりである。本研究課題の研究成果を中間報告として発表して、批判を受け、個別研究、共同研究を継続させたいと考えている。
|
Research Products
(15 results)
-
[Publications] 平野 健一郎: "ヒトの国際移動、中国の場合-中華世界から現代国際社会へ-"『現代中国の構造変動8・国際関係』田中恭子編、東京大学出版会. 187-214 (2001)
-
[Publications] 平野 健一郎: "グローバリゼーション下のアジア・太平洋における社会・文化変容と地域研究"『北東アジア研究』島根県立大学北東アジア地域研究センター. 2号. 21-30 (2001)
-
[Publications] 平野 健一郎: "国際文化学の確立をめざして"日本国際文化学会設立記念シンポジウム基調講演. 学会ニューズレター1号. (2001)
-
[Publications] 平野 健一郎: "黄遵憲『朝鮮策略』異本校合-近代初頭東アジア国際政治における三つの文化の交錯について"国際政治. 129号. 11-28 (2002)
-
[Publications] FURUTA, Kazuko: "Inchon Trade"Sugiyama and Grove, eds., Commercial Networks in Asia. Richmond. 71-95 (2001)
-
[Publications] 古田 和子: "近代東北アジアにおける上海を中心とする流通ネットワーク"『東北亜僑社網絡與中国』中央研究院東北亜域研究. 5-25 (2001)
-
[Publications] 金 鳳珍: "新儒学と科学-一つの問題提起"東洋文化研究所紀要. 141冊. 23-51 (2001)
-
[Publications] Kim Bong-Jin: "The Public/Private in Watsuji Teturo's Ethics"北九州市立大学外国語学部紀要. 101号. 1-29 (2001)
-
[Publications] 金 鳳珍: "「礼」と万国公法の間-朝鮮の初期開化派の公法観-"北九州市立大学外国語学部紀要. 102号. 115-171 (2001)
-
[Publications] 金 鳳珍: "日本の地域主義"伝統と現代(ソウル:伝統と現代社). 19号. 78-99 (2002)
-
[Publications] 黄 東蘭: "法政速成科の中国留学生と清末期の地方自治"法政大学創立120周年国際シンポジウム報告集. 49-57 (2001)
-
[Publications] 黄 東蘭: "清末期中国における地方自治制度の導入と日本-天津県の実験を中心に"東洋学報. 84巻1号(掲載予定). (2002)
-
[Publications] 川村 陶子: "ヨーロッパにおける文化交流の方向性"成瑛大学文学部紀要. 36号. 51-65 (2001)
-
[Publications] 川村 陶子(共著): "主要先進国における国際交流機関調査レポート・ドイツ"主要先進国における国際交流機関調査レポート. 1-100 (2001)
-
[Publications] 平野 健一郎: "国際文化論"東京大学出版会. viii+243 (2000)