2000 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀半〜20世紀初めのドイツにおける科学論と経済学方法論の現代的意義
Project/Area Number |
12630001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡部 洋實 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (10204017)
|
Keywords | 経済学方法論 / 方法論争 / 歴史学派 / 精密学派 / メンガー / シュモラー / ヴェーバー / 認識論 |
Research Abstract |
本年度は、1880年前後〜1920年代を中心に、研究課題に関連する哲学、科学論、歴史学、社会科学論について、当時のドイツにおける著作・論文、ならびに、当時の学問状況に関する近年の研究文献を収集・整理した。また、19世紀末から20世紀初めにかけてのドイツとオーストリアの経済学界における、メンガーとシュモラーとの間で始まったいわゆる方法論争についても関連資料を収集した。 本年度とくに成果の得た作業は、19世紀半〜1920年代のドイツにおける社会科学全般にわたる著作を数多く所蔵するゾンバルト文庫・福田徳三文庫(いずれも大阪市立大学)の調査(昨年12月実施)である。この作業からは、方法論争に刺激されてか、当時の中堅・若手の経済学者による経済学方法論に関する文献の多くあることが確かめられた。 学説史研究の通説では、方法論争は、メンガーに始まる精密学派とシュモラー等の歴史学派との間の議論の激しさにもかかわらず、大きな成果を見出しえないままに立ち消えたとされている。しかし、収集した諸資料から明らかとなったのは、当時の若い研究者の中には既に、両学派の対立は決定的なものではないこと、むしろ問題は経済現象の認識論にあることを指摘する者達がいたことである。これに関してはM.ヴェーバーの業績が有名だが、それ以前にも社会科学の認識論に関する著書・論文はいくつか発表されており、研究担当者は現在、それらを分析中である。 なお、当初、本研究の中間的成果の確認と資料収集のために外国(ドイツ)出張を予定していたが、本務の都合と研究の進展具合を鑑みてこれを見合わせ、本年度中は資料の収集・整理・分析に集中することとした。
|