2001 Fiscal Year Annual Research Report
アジア広域経済圏構想に基づく金融システム再編のための基礎的研究
Project/Area Number |
12630044
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
箕輪 徳二 埼玉大学, 経済学部, 教授 (20157580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 忠信 埼玉大学, 経済学部, 教授 (40185559)
伊藤 修 埼玉大学, 経済学部, 教授 (40312912)
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Keywords | アジア通貨危機 / アジア金融制度 / アジア経済 |
Research Abstract |
本研究は、日本における急激な金融システムの再編過程を分析し、アジア全体の通貨制度を見なおすなかで金融制度の方向を見出すことを目的としている。 平成13年度は、アジアの自由金融市場として活発な香港、シンガポールとアジア通貨危機の発端となったタイを訪れ、金融関係者、政府関係者にヒアリング調査を行い、訪問各国の通貨危機時における政府の政策、民間金融機関の対応とその後の金融制度の再生を中心に通貨危機原因を調査し、一定の成果を得た。タイの通貨危機は、自国の産業・金融資本の資本蓄積の脆弱を背景に、外資依存、金融政策のまずさを含んだ通貨制度の欠陥による短期資金の流入と流出を主なる原因としていた。シンガポール政府の通貨危機対応は、スピードを持って金融機関にレギュレーションの強化し(悪いローンについて引当金積み立て強化など)、オープン・マーアケットの監視強化、利益送金の禁止などが打ち出されたことである。 平成14年度は、アジア通貨危機後、IMF支援のもとドラスティックな産業(財閥)再編、金融経済改革を行い、再生しつつある韓国、国有銀行の不良債権問題をかかえる中国の金融関係者及び研究者のヒアリングを行い、一定の成果を得た。韓国中央銀行のアジア通貨局担当者とのヒアリングでは、韓国の産業企業の財務体質が借入金過多依存体質の中、輸出を中心とする産業企業に対して韓国為替通貨の極度の変動(日本の円為替安等)がもたらした金融危機等について詳細に調査することができた。中国については、上海証券市場の発展方向、国有銀行の抱える不良債権額が、今後の中国の経済発展に大きな影響を与えることが理解できた。
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