2000 Fiscal Year Annual Research Report
通貨・金融危機後アジア諸国の経済構造改革による影響と展望
Project/Area Number |
12630072
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
黄 國光 創価大学, システム科学研究, 講師 (00267494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 敏夫 札幌学院大学, 経済学部, 教授 (60326519)
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Keywords | アジア金融危機 / 構造改革課題 / 現地ヒアリング調査 |
Research Abstract |
通貨・金融危機以降,アジア域内の各政府はさまざまな経済対策を検討し実行するよう努力してきた。輸出振興,中小企業支援,金融システムの再生などを盛り込んだ経済対策が検討され,短期的にはそれなりの成果を上げたといってよいだろう。 ただし,中長期的な構造問題として,これらの課題が解決されたわけではないが,懸念されるのは大方の予想より早い景気回復によって,肝要な中長期的な構造問題への対応が疎かにされることである。 本研究は今年度,このような問題意識を背景として,東アジア諸国について,アジア地域が持続可能な成長経路に復帰するため,危機への対策と危機後の構造改革の政策展開に焦点を当て,諸国の政策担当者や専門家に対する現地ヒアリング調査を中心に今後なすべき課題を明らかにしている。 現地調査の対象国・地域は,中国,台湾,香港,タイ,マレーシア,ミャンマーの6カ国・地域とし,その他のアジア国の経済動向についても文献や各国の発表資料をもとに考察している。 調査期間は2000年8月1日から8月31日までの1ヶ月間,調査方法はインタビュー方式,調査対象は各国の産・官・学の関係者計47名である。 東アジア諸国が通貨・金融危機から回復ないしは脱却し始めたとも言える。 また,今回の現地調査を通じて、東アジア経済自身は高いポテンシャルを有していることも景気回復に大きく貢献していると実感している。東アジアが他の地域に比較して豊富な潜在力を擁しているという構図は,危機によっても損なわれてはいないし,この地域を成長軌道に復帰していく原動力になることに違いないと確信している。 しかし、2000年末から米国経済の減速が鮮明となり、外需=米国向け輸出に依存した経済回復過程に入った東アジア諸国経済の先行きを不透明なものとしている。現地調査を期間中、タイでは、再び「通貨危機」発生を危惧するビジネスマンが少なくなかったことが印象に残っている。
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Research Products
(1 results)