2001 Fiscal Year Annual Research Report
寡占企業のチャネル・インタフェイス管理空間の戦略的調整に関する研究
Project/Area Number |
12630120
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
崔 相鐵 流通科学大学, 商学部, 助教授 (10281172)
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Keywords | チャネル・システム / チャネル・インタフェイス / チャネル・ポートフォリオ戦略 / 流通系列化の崩壊 / 流通パートナーシップ / 流通取引制度の変革 / チャネル信頼 / チャネル・パワー |
Research Abstract |
寡占企業が、流通系列化を根幹とする伝統的チャネル関係から製販同盟などの新たなチャネル関係へと、チャネル政策の転換を急いでいる今、果たして流通系列化は、旧い時代の名残として、変革を追い求めるべき日本の流通経路においては、ロスト・パラダイムになってしまうだろうか。一方で、製販同盟などの新チャネル関係が、流通系列化への代替パラダイムとして受け入れられるだろうか。 本研究では、以上のように流通系列化の動揺と製販同盟の進展として要約できそうな昨今の流通経路の動態を睨みながら、ひとまず、寡占企業と流通業者間の相互作用のダイナミクスを究明すべきチャネル研究の展開を整理した。それから日本の流通システムにおける実践パラダイムとして一世を風靡した流通系列化が、今になって製販同盟等の流通革新によって追われていくという状況を、チャネル研究がどのような理屈で捉えているのかを分析した。それによって、「流通系列化関係=パワーとコンフリクトの構図」、「新たなチャネル関係=パートナーシップと協調の構図」というチャネル研究の一般的な見解の妥当性を問い直すことができた。 さらに、チャネルにおけるパワーと信頼概念を中心に議論された従来のチャネル研究の成果を踏まえながら、チャネル政策のおける新たな視点を提示した。パワーと信頼概念を、流通業者との相互関係に基づき改めて再整理することによって、流通システムにおける様々な実践パラダイム、とりわけ流通系列化と製販同盟等を相対論的に見つめ直すことができると主張し、かつチャネル・ポートフォリオ概念を提起した。それによってチャネル研究の新たな地平を開くことができ、かつポスト流通系列化のチャネル構築に悩んでいる寡占企業のチャネル政策についても有意義なインプリケーションを提供できたと考える。
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[Publications] 崔 相鐵: "チャネル戦略の転換:チャネル管理からチャネル・ポートフォリオへ"石井淳蔵編著『現代経営学講座11:マーケティング』(八千代出版). 185-207 (2001)
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[Publications] 崔 相鐵: "日本の流通システムの歴史的展開と課題(韓国語)"マーケティング論集 韓国 大邸・慶北マーケティング学会. 第10巻第1号. 95-122 (2001)
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[Publications] 崔 相鐵: "ケミカル・シューズ産業の今後の課題"ケミカルシューズ産業活性化のための研究報告書(兵庫韓国商工会議所). 32-47 (2001)
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[Publications] 崔 相鐵: "マーケティング・チャネルのマネジメント"1からのマーケティング(碩学舎). 157-182 (2001)