2000 Fiscal Year Annual Research Report
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12640166
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
愛木 豊彦 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (90231745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 直紀 長岡高等専門学校, 一般教育科, 助教授 (90280370)
竹内 茂 岐阜大学, 教育学部, 教授 (30021330)
剣持 信幸 千葉大学, 教育学部, 教授 (00033887)
伊藤 昭夫 岐阜大学, 工学部, 助手 (30303506)
山田 雅博 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (00263666)
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Keywords | 非線形偏微分方程式 / 形状記憶合金 / ヒステリシス作用素 / 1相ステファン問題 / 最急降下法 / 最適制御問題 |
Research Abstract |
1) 1次元形状記憶合金に対する数学モデルは、既にいくつか提唱されているが、それらの多くはランダウ理論に基づいている。すなわち、実験上ではヒステリシスループを用いなければ記述できない物質の性質を多項式による近似を用いて導出された微分方程式のシステムが考えられてきた。そこで我々はヒルベルト空間上で定義された凸関数の劣微分によって記述される発展方程式の理論をもとに、ヒステリシス作用素をそのままの形で方程式のシステムに組み込んだモデルを考え、その近似問題を考察した。そして、そのモデルに対して解の存在・一意性が成り立つことを証明した。さらに、我々のモデルによって、時計回りや反時計回りの向きをもつヒステリシス作用素も記述できることが分かった。ヒステリシス作用素によって記述される工学的な現象で数学的に未解決な問題は数多く知られている。今後、この方法はいろいろな現象に応用できるものと思われる。 2) 最適制御問題は工学上重要な意味をもつものとして広く研究されている。我々は、phase-field方程式と呼ばれる物質の相転移現象を記述する非線形微分方程式のシステムに対して最適制御問題を考えた。元のシステムが非線形であるから最適制御問題を考える際に扱うコスト関数も、勿論、非線形である。非線形の場合でも、数学的に最適解の存在を示すことは、それほど困難ではない。ここで、問題になるのはどのようにして数値計算上で最適解あるいは局所的な最適解を求めるかということである。我々は共役勾配法を用いて数値的に最適解を求めるとともに、そのアルゴリズムの正当性を数学的に証明することができた。非線形の場合、このように厳密な証明を与えたものは少なく、意味のある結果と言える。 3) sublinearな熱方程式に対する1相ステファン問題について考察した。Sublinearな熱方程式に関する固定領域上での初期値境界値問題は、近年、再び研究されはじめ、解の一意性や時間無限大での解の挙動などが調べられている。我々は、そこで示されたアイデアを1相ステファン問題に適用しいくつかの結果を得た。Sublinearな熱方程式の場合解の一意性が問題となるが、グリーン関数による表現を用いることで解が一意であることを証明できた。また、固定領域の場合、解は時間無限大で定常解に収束することが分かっている。それに対して、1相ステファン問題の場合、温度及び自由境界が成長解となることが我々の数値実験によって予想されていた。今回、この予想に対して厳密な数学的証明を与えるとともに、温度が全ての領域の点において成長することも示すことができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] AIKI,Toyohiko: "Weak solutions for Falk's model of shape memory alloys"Mathematical Methods in the Applied Sciences. 23. 299-319 (2000)
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[Publications] AIKI,Toyohiko-Sato,Naoki: "Stefan problems with dynamic boundary condition including the hysteresis operator"Proceedings of International conference on : Free boundary problems, Theory and Applications I. 13. 1-10 (2000)
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[Publications] AIKI,Toyohiko & IMAI,Hitoshi: "Stability of global solutions to one phase Stefan problems for a semilinear parabolic equation"Czechoslovak Mathematical Journal. 50. 135-153 (2000)
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[Publications] AIKI,Toyohiko Imai,Hitoshi and Ishimura,Naoyuki: "Analysis on one-phase Stefan problems for semilinear parabolic equations"Proceedings of International conference on : Free boundary problems, Theory and Applications II. 14. 176-183 (2000)
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[Publications] 愛木豊彦,今井仁司,石村直之,山田義雄: "Asymptotic behavior of solutions to one-phase Stefan problems for sublinear heat equations"非線形拡散系-ダイナミクスと漸近解析,2000数理解析研究所講究録. 1178. 36-47 (2000)
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[Publications] ITO,Akio and Kenmochi,Nobuyuki: "Inertial set for a phase transition model of Penrose-Fife type"Adv.Math.Sci.Appl.. 10. 353-374 (2000)