2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12640359
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田島 圭介 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70004439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 晋 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (00260216)
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Keywords | 遍歴電子磁性 / 磁気相転移 / 磁気相図 / X線回折 / 磁気弾性効果 / フラストレーション / メタ磁性 |
Research Abstract |
1)前年度に引き続き、遍歴電子系磁性体の磁気弾性効果に関連する研究を行った。(FeMn)_2P系は、遍歴電子型メタ磁性体として考えられている。この系が、常磁性状態から強磁性状態にメタ磁性転移を引き起こすときには、Fe^I位置のバンドとFe^<II>(あるいはMn)位置のバンドの磁気モーメント間の交換相互作用がこの転移の引き金となると考えられている。従って、転移に伴いバンドがシフトして構造に何らかの変化がある場合は、それが例えば磁気弾性効果に反映されることも考えられる。そこで、磁場中におけるX線回折により、キュリー温度以上の格子定数の磁場依存性を測定し、同一試料の磁化測定結果と併せて、常磁性領域と強磁性領域における磁気弾性係数を求めた。その結果、常磁性領域の磁気弾性係数は、強磁性領域のそれに比べ5〜30倍大きいという結果が得られた。Fe_2P系と同じく、遍歴電子メタ磁性と考えられているLu(CoGa)_2においても同様な結果が観測されている。遍歴電子と異なる局在電子系では、磁気弾性係数は交換相互作用の距離依存性によって決定され、そこから格子変化は磁化の2乗に比例するはずである。事実、本課題研究によって以前研究が行われた局在電子系の典型であるHoでは、磁気構造に関係なく磁気弾性係数は一定であることがわかっている。遍歴電子系で得られた結果は、交換相互作用の他に、バンド構造の磁気弾性効果に対する寄与があり、磁気構造の変化によるバンド構造の変化が関係しているために常磁性領域と強磁性領域で異なる磁気弾性係数が得られたと考えられる。 2)三角格子反強磁性体であるCuFeO_2の低温における結晶構造をX線回折により調べ、磁気構造との関連を調べた。フラストレーションによっておこると考えられる部分的な正弦波磁気構造の温度領域では、結晶構造に変化が見られず、長範囲磁気秩序の欠如が原因と考えられたが、さらに低温の4-副格子磁気構造の温度領域では、結晶が六方晶から斜方晶への変化が見られた。
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