2000 Fiscal Year Annual Research Report
都市産業形態の違いを考慮した重金属市街地土壌汚染パターンの解析
Project/Area Number |
12650547
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米田 稔 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40182852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森澤 眞輔 京都大学, 工学研究科, 教授 (50026340)
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Keywords | 市街地土壌汚染 / 抽出方法 / 重金属 / ケミカルフォールアウト / 中部地方 / 産業形態 / 鉱業 / 水平分布 |
Research Abstract |
本研究では、国内各都市における、主として重金属の土壌中濃度を測定し、汚染レベルの現状とその分布の特徴を明らかにすることを目的としている。このため、まず土壌中重金属濃度の測定法として様々な抽出方法があるが、どの抽出方法が市街地土壌の汚染レベルを最もよく表すかを調査結果から検討した。その結果、塩酸抽出による方法が硝酸抽出などの他の抽出方法に比べ、汚染の地域性を良く表していることが明らかとなった。 また、測定試料としては、有機炭素量の少ない、できるだけ一定の土壌特性を持つ試料を得るため、市街地公園の土壌を試料としたが、それでも土壌特性に違いがみられ、土壌中濃度の測定値の違いが、ケミカルフォールアウト量の違いによるものなのか、土壌特性の違いによるものなのかの判断が困難となる事例が見られた。このためサンプリングを各地点において約2.5cmずつの上層と下層に分けて行い、上層サンプルと下層サンプルとの差から、人為的汚染を明らかにすることを試みた。その結果、上層と下層の差をとる方法は、ケミカルフォールアウトの同定に有効であること、また、その地点での高濃度汚染の時期をある程度推定できることが明らかとなった。 さらに本研究で開発したサンプリング方法を用いて、中部地方において日本列島を横断するルートでサンプリングを行い、各種重金属濃度分布を求めた。その結果、重金属市街地土壌汚染には鉱業の影響が大きいこと、中部地方太平洋岸においては現在よりも過去において大きな汚染が存在していたと推定されることが明らかとなった。また、一部の金属において、日本海側に現在も継続していると考えられる明らかなケミカルフォールアウトが観測された。これが酸性物質などと同様に大陸からの影響であるかどうかを明らかにするためのデータを現在収集中である。
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