2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12650549
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
馬場 俊介 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (10111832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 輝久 岡山大学, 環境理工学部, 助手 (20304339)
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Keywords | 近代日本 / 土木構造物 / 近代土木遺産 / 伝統的土木技術 / 西欧技術 / 技術評価 / 継承 / 断絶 |
Research Abstract |
明治以降の「近代的」な国造りにあたって構築されていった数多くの新奇な構造物が、どのような技術的な背景のもとで設計・施工されたかを調査・分析することで、伝統的技術と西欧流の輸入技術の因果関連・消長を明らかにすることをめざした。 技術の継承・断絶の状況は、その分野によって大きく異なるため、治水、砂防、農業土木、運河、港湾、交通、発電、水道など対象ごとに、それらを構築するに要した技術を調べ、その中に伝統的な発想がどの程度残り、一方で、西欧流の考え方がどの程度支配的であったか、そして、そのレベルは当時の世界の潮流の中でどの程度成熟したものであったかを、分野ごとの技術に基づいて分析した。 結果を、(1)小規模なものでは伝統的技術がそのまま継承された分野、(2)伝統的技術の上に西欧技術が「改善」という形で展開していった分野、(3)伝統的技術が時代遅れだと否定され西欧技術の吸収に汲々としていた分野に分けられた。それぞれの分野を構成する代表例は、(1)防波堤、農業用堰堤、九州の石アーチ、(2)水制、樋門、砂防堰堤、隧道、(3)治水計画、灯台、閘門、ハイダム、橋梁、ろ過施設、砲台であった。また、技術の普遍性、相対的な習熟度という視点での分類は、(a)日本独自のユニークな工夫が見られる分野、(b)世界的に見てもかなりの技術力が感じられる分野、(c)世界の後追いばかりが目立つ分野となった。これらの代表例は、(a)農業用堰堤、水制、樋門、砂防堰堤、(b)防波堤、隧道、ハイダム、(c)治水計画、灯台、閘門、鋼橋、ろ過施設、砲台となった。(1)と(a)、(2)と(b)、(3)と(c)とが重なる部分が多いが、これは、伝統的技術の成熟度、西欧技術との格差の大きさによってかなりの部分が説明されることが分かった 以上のような視点に立って、10件の近代土木遺産について試行的に技術評価を行った
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 馬場 俊介: "土木遺産をみる(1)小樽港北防波堤"建設マネジメント技術. 278号. 59-61 (2001)
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[Publications] 馬場 俊介: "土木遺産をみる(2)野蒜築港関連事業"建設マネジメント技術. 279号. 40-42 (2001)
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[Publications] 馬場 俊介: "土木遺産をみる(3)永代橋と清洲橋"建設マネジメント技術. 280号. 33-35 (2001)
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[Publications] 馬場 俊介: "土木遺産をみる(4)猿島要塞"建設マネジメント技術. 281号. 49-51 (2001)
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[Publications] 馬場 俊介: "土木遺産をみる(5)木曽川ケレップ水制群"建設マネジメント技術. 282号. 53-55 (2001)
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[Publications] 馬場 俊介: "土木遺産をみる(6)新京阪地下線"建設マネジメント技術. 283号. 37-39 (2001)
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[Publications] 馬場 俊介: "土木遺産をみる(7)大川・中之島の橋梁群"建設マネジメント技術. 284号. 41-43 (2002)
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[Publications] 馬場 俊介: "土木遺産をみる(8)京橋、建設マネジメント技術"建設マネジメント技術. 285号. 39-41 (2002)
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[Publications] 馬場 俊介: "土木遺産をみる(9)大谷川砂防堰堤"建設マネジメント技術. 286号. (2002)
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[Publications] 馬場 俊介: "土木遺産をみる(10)河内ダムと南河内橋"建設マネジメント技術. 287号. (2002)