2000 Fiscal Year Annual Research Report
日本海側ブナ林構成樹種における地理的分布と遺伝的構造の歴史的関連性
Project/Area Number |
12660135
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
戸丸 信弘 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (50241774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津村 義彦 森林総合研究所, 生物機能開発部, 主任研究官
山本 進一 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (60191409)
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Keywords | ブナ林 / ミトコンドリアDNA / 系統地理 / 制限酵素断片長多型 / 遺伝的変異 / Ilex leucoclada / Aucuba japonica var.borealis / Daphniphyllum macropodum var.humile |
Research Abstract |
日本海型ブナ林を特徴づける種として、ヒメモチ、エゾユズリハ、ヒメアオキなどの常緑性低木がある。これらの樹種が最終氷期とそれ以降にブナと同所的に分布を移動したならば、ブナと同様な系統地理学的な構造を保有するという仮説が立てられる。本研究ではこの仮説を検証する。そのために、(1)日本海側ブナ林の常緑性小低木を対象としてオルガネラDNAのハプロタイプを調べて、各樹種の遺伝的構造を把握し、(2)その構造をブナのものと比較することにより、日本海側ブナ林構成樹種の地理的分布と遺伝的構造との歴史的関連性について一般化を試みる。 平成12年度には、ヒメモチ、エゾユズリハ、ヒメアオキ、ハイイヌツゲ、ハイイヌガヤ、チャボガヤを対象として、以下の知見等が得られた。 1)植物相(植物誌)や植生の文献調査および現地調査を行い、現時点での各樹種の地理的分布に関するデータを収集・解析し、地理的分布図を作成した。 2)作成した地理的分布図をもとに、分布域をカバーするようにおよそ5地点を採取地域として抽出した。 3)全採取地域のうち5地点(知内、白神山地、飯豊山地、白山、大山)を選び、各地域においてヒメモチ、エゾユズリハ、ヒメアオキそれぞれ30個体の葉組織を採取した。 4)ヒメモチ、エゾユズリハ、ヒメアオキについて、全DNAの抽出は全個体で、ミトコンドリアDNAの多型的領域の探索は10個体で行った。その結果、エゾユズリハとヒメアオキではほとんど多型がみられなかったのに対し、ヒメモチでは多くの多型が得られた。すなわち、樹種によって多型性が異なることが明らかとなり、ヒメモチで集団解析を行うための多型が十分あることがわかった。
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