2001 Fiscal Year Annual Research Report
日米稲作技術発達史の比較研究 -移民史との関係で-
Project/Area Number |
12660207
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
立岩 寿一 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (10192634)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 武 東京農業大学, 国際食料情報学部, 助教授 (80233071)
応和 邦昭 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (20194061)
|
Keywords | カリフォルニア稲作 / 日本人移民 / 稲作技術交流 / 農業抵当金融 / 比較農業史 / 両大戦間期農業史 / カリフォルニア史 / アメリカ農業史 |
Research Abstract |
本年度の研究は、現地でのインタビューと関連資料の収集、整理および分析に集中した。インタビューの成果は、カリフォルニア稲作のパイオニアの一人であり日本人移民初の大規模稲作農家であった生田見寿子息、Butt Rice Company共同経営者だった山田栄、山田三郎子息、農場総責任者(共同経営者ともいわれる)満治嘉蔵子娘、稲作農場経営者沖土井直一子娘、同Fumie Ishihara、同Satomi Tanimoto、同Michie Yenokida, Susumu Yenokida各氏、國府田農場共同経営者池田喜平の総農場責任者宮本要氏へのインタビュー等である。また19世紀末から1920年代半ばまでの北カリフォルニアにおける動産抵当権設定証書(主として米を担保とする)の収集と分析もおこなった。 かかる研究の結果、移民史の視点から見れば、1910〜20年代年代のカリフォルニア日本人稲作は、移民日本人の人的関係や日本の種子および稲作技術の導入を基礎としつつも、水利、土地賃貸、資金確保、販売ルートの確保等々の面で地域社会と密接な関係を有しており、定着期の移民日本人の地域社会との関係形成のあり方を示している。特に大規模稲作に必要な資金の確保では、地域銀行との密接な結びつきがあり、1910年代にはすでに移民稲作日本人がホスト社会の信頼を得ていたことが確認できる。 またカリフォルニア稲作の技術的展開という視点からは、当時の栽培技術の問題の解決のため日本の技術の導入がはかられていたことが明確になった。「極早稲種」、「早稲者」の導入、「田越潅漑」、「中干し」等々の技術がそれである。これらの技術は、戦後にも継承され、カリフォルニア稲作の技術的基盤となっていく。 このような研究成果は、カリフォルニア農業史(稲作史)と移民史をクロスさせた研究として意義がある。
|