2000 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経ループスの病態形成における自己抗体の役割の解析-特に抗リボソームP抗体と抗神経細胞抗体について
Project/Area Number |
12670438
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
広畑 俊成 帝京大学, 医学部, 助教授 (90189895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 たみ子 帝京大学, 医学部, 助手 (80082204)
宮下 琢 帝京大学, 医学部, 助手 (00239401)
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Keywords | SLE / CNSループス / 抗リボソームP抗体 / Tリンパ球 / Bリンパ球 / 単球 / 抗リンパ球抗体 / 固相化抗CD3抗体 |
Research Abstract |
全身性エリテマトーデス(SLE)に伴う中枢神経病変(中枢神経ループス[CNSループス])は、ループス腎炎とともにSLEの難治性病態でありながら、その病因・病態はおろか診断法・活動性の評価法も不明で、治療を著しく困難にしている。一方、SLEでは血清中抗リボソームP抗体及び髄液中の抗神経細胞抗体という自己抗体のトロピズムがCNSループス(特にlupus psychosis)の病態形成上重要であることを裏付けるに至った。以上の研究経過を踏まえて、本年度においては、血清中抗リボソームP抗体がCNSループスの病態形成において果たす役割について検討を行なった。特に抗リボソームP抗体が免疫担当細胞に与える影響について解析を行なった。抗リボソームP抗体はCNSループス患者血清よりアフィニィテークロマグラフィーにより精製し、対照として健常人血清より精製したIgGを用いた。健常人末梢血から分離した多核白血球、Bリンパ球、Tリンパ球、単球はいずれもリボソームP抗原を発現していなかった。Bリンパ球、単球には活性化した後もリボソームP抗原の発現は見られなかった。一方、Tリンパ球を固相化抗CD3抗体で刺激することにより、その表面にリボソームP抗原の発現が誘導された。CD4+Tリンパ球のみならずCD8+Tリンパ球の表面にもリボソームP抗原の発現が誘導された。以上の結果より、抗リボソームP抗体は活性化Tリンパ球と反応する抗リンパ球抗体であることが示された。従って、抗リボソームP抗体はSLEの免疫異常について関与している可能性が考えられる。今後は、抗リボソームP抗体がTリンパ球の種々の機能に及ぼす影響について詳細に検討してゆく必要がある。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Hirohata S: "Bone marrow CD34+ progenitor cells from rheumatoid arthritis patients support spontaneous transformation of peripheral blood B cells from Healthy individuals."Rheumatol Int. 19. 153-159 (2000)
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[Publications] Hirohata S: "Inhibition of cyclin A gene expression in human B cells by an immunosuppressant mizoribine."Clin Exp Immunol. 120. 448-453 (2000)
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[Publications] Yamashita S: "Analysis of neutrophil proteins of patients with Behcet's disease by two-dimensionnal gel elecreophoresis."Biol Pharm Bull. 23. 519-522 (2000)
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[Publications] Kawai M: "Cerebrospinal fluid β2-microglobulin in neuro-Behcet's syndrome."J Neurol Sci. 179. 132-139 (2000)
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[Publications] 広畑俊成: "特集:免疫性神経疾患 -ここまで進んだ病態解明と治療全身性エリテマトーデスに伴う神経障害<その他の自己免疫機序による神経疾患>"内科. 4. 687-691 (2000)
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[Publications] 広畑俊成: "第VIII編 各種疾患にみられる神経疾患 E.リウマチ性疾患 1.全身性エリテマトーデス(SLE)"別冊日本臨床 領域別症候群シリーズNo.29 神経症候群IV -その他の神経疾患を含めて. 29. 261-264 (2000)
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[Publications] 広畑俊成: "膠原病診療 専門医によるベストアドバイス -困ったときにどう考えるか"診断と治療社. 216 (2000)
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[Publications] 広畑俊成: "コンパクト臨床アレルギー学"南江堂. 370 (2000)