2001 Fiscal Year Annual Research Report
Mn-SOD誘導による血管平滑筋細胞のストレス耐性獲得機構の解明
Project/Area Number |
12670667
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Research Institution | KOBE COLLEGE |
Principal Investigator |
西田 昌司 神戸女学院大学, 人間科学部, 教授 (40283783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛谷 恒彦 大阪樟蔭女子大学, 食物学科, 教授 (80150340)
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Keywords | 血管平滑筋 / 動脈硬化 / 酸化ストレス / Mn-SOD / プレコンディショニング / 急性冠症候群 / プラーク破裂 |
Research Abstract |
酸化ストレスに対する生体の防御機構として、内因性の抗酸化酵素群の誘導が生じる。しかし、動脈硬化などの局所病変では攻撃因子である酸化ストレスに対して防御因子である抗酸化酵素の誘導が不十分となり、局所病変の進展を来す可能性が示唆されている。本申請者らは、種々の負荷により抗酸化酵素の一つであるマンガンスーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)が平滑筋細胞において誘導されること、Mn-SODの誘導が平滑筋細胞の酸化ストレス耐性を亢進されることを見出した。本年度においては、Mn-SODを培養血管平滑筋細胞に遺伝子導入して選択的に発現させることにより酸化ストレスによる平滑筋障害が抑制されるか否かを検討した。 ラット培養血管平滑筋細胞に対し、発現ベクターに組み込んだMn-SOD cDNAをリポフェクション法で導入した。導入したMn-SOD cDNAのMn-SODタンパク質への翻訳は抗Mn-SODポリクローナル抗体を用いた酵素免疫染色法で確認した。その後に平滑筋細胞に無酸素-再酸素化負荷による酸化ストレスを加えて細胞障害を惹起すると、Mn-SODを導入した細胞においてはMn-SOD cDNAを含まないコントロールベクターを導入した細胞に比較して、LDH遊出により定量した平滑筋細胞のネクローシス、蛍光核染色により定量した平滑筋細胞のアポトーシスともに有意に抑制された。 従来の内因性Mn-SOD誘導による耐性付与は、特異性の観点から問題を含んでいたが、今回の実験結果は、特異的に外因性の抗酸化酵素を導入することによっても同様の酸化ストレス耐性を惹起することが可能であり、局所の血管病変の治療・予防に応用可能である事が示唆される。
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