2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670697
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
萩原 誠久 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (00180802)
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Keywords | 洞結節細胞 / パッチクランプ法 / 一過性K電流 |
Research Abstract |
洞結節細胞の活動電位形成には様々なイオンチャネルが関与する。現在までの我々の研究ではペースメーカー電位の形成に2種類のCa電流,過分極誘発電流および内向き背景電流が重要な役割を果たしていることが確認された。一方,洞結節細胞の再分極相を形成する電流系に関する報告は少なく,そのイオン機序も十分に検討されていない。本年度の研究では単一洞結節細胞にパッチクランプ法を応用して,whole-cell電流を記録した状態で再分極相に重要と考えられるK電流を解析した。その結果,洞結節細胞には4-aminopyridine(4-AP)に感受性のある一過性K電流(Ito)が存在することが確認された。洞結節細胞のItoは心房筋と比較して電流密度は小さいが,不活性化からの回復時間が著しく速く,チャネルの性質も心房筋とは異なる可能性が考えられた。洞結節細胞活動電位におけるItoの役割を低濃度の4-APを用いて検討すると,活動電位幅は4-APにより約20%延長した。これらの結果,Itoは洞結節細胞の再分極相において重要な役割を果たしていることが確認された。また,洞結節細胞と心房筋細胞のItoに関して,RT-PCR法でチャネル蛋白の構造を検討した結果,洞結節細胞のItoはKチャネルクローンの中でKv4.2に類似した性質である可能性が示唆された。従って,今後はこれらの機能に関して検討する予定である。
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[Publications] 関明子,萩原誠久 他: "Effects of NIP-141 on K currents in human atrial myocytes"Journal of Cardiovascular Pharmacology. (印刷中). (2001)
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[Publications] 萩原誠久,笠貫宏: "正常洞調律"不整脈笠貫宏稿集. 2-6 (2000)
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[Publications] 萩原誠久,長崎陽子 他: "虚血心における不整脈の病態生理と治療"医学の歩み. 192(1). 96-101 (2000)
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[Publications] 萩原誠久: "伸展感受性Clチャネル"医学の歩み. 192(13). 1229-1230 (2000)
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[Publications] 梶本克也,萩原誠久 他: "Efficacy of continuous intravenous drip infusion of disopyramide in hypertrophic obstructive cardiomyopathy during cardiogenic shock. "Journal of Cardiology. 35(3). 197-203 (2000)