2000 Fiscal Year Annual Research Report
グルタメイト脱水素酵素異常による高インスリン高アンモニア血症の発症機構の解明
Project/Area Number |
12670770
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
岡野 善行 大阪市立大学, 医学部, 講師 (60231213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 みゆき 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (00145773)
川村 智行 大阪市立大学, 医学部, 助手 (60271186)
稲田 浩 大阪市立大学, 医学部, 助手 (00244640)
宮崎 純一 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10200156)
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Keywords | グルタメイト脱水素酵素 / アンモニア / インスリン / 低血糖 / GTP / 先天性代謝異常症 |
Research Abstract |
高インスリン高アンモニア血症は1996年にZammarchiらによってはじめて独立した疾患として提唱され、1998年Stanleyらはその原因がglutamate dehydrogenase(GDH)異常であり、その遺伝子変異を同定している。本疾患はGDH酵素のGTP結合部位の遺伝子異常-蛋白異常によりGTPの抑制制御が失われるため、GDH活性の上昇をきたし、肝臓では高アンモニア血症を膵β細胞では高インスリン血症をもたらすと推定されている。高インスリン高アンモニア血症の2自験例ではジアゾキサイドによる低血糖に一定の治療効果が認められたが、、高アンモニア血症に対して安息香酸ナトリウムや低蛋白食療法を行うも著効を得られていない。自験例2症例についてGDHの酵素解析と分子遺伝学的解析を行った。EBウイルスで確立した両患者のリンパ芽球細胞ではGDH活性の上昇とGTPによるGDH活性阻害の低下、すなわち、GDH活性の制御機構の異常が生じていた。遺伝子解析では各患者からG446BとL413Vの変異を各1対立遺伝子で同定し、また、両変異ともde novoに発生したことを両親の遺伝子解析から明らかにした。site-directed mutagenesis法で変異GDHcDNAを作成した後、COS細胞に導入し、GDH活性およびGTPとADPのキネテイック・スタデイを行い、両変異が原因遺伝子であることを確認した。抗GDH抗体を用いた解析では両変異のCRM量はコントロールと同等で、GDH活性の上昇はspecific activityの上昇によると考えられた。また、遺伝子変異により異なる臨床的重症度を示すことが推測された。
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