2000 Fiscal Year Annual Research Report
高密度事象関連電位、近赤外線分光法を用いた精神分裂病の遺伝的高危険者における認知機能障害の研究
Project/Area Number |
12670949
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小椋 力 琉球大学, 医学部, 教授 (60032330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 謙一 琉球大学, 医学部, 助教授 (50218814)
福治 康秀 琉球大学, 医学部, 助手 (00311887)
外間 宏人 琉球大学, 医学部, 助手 (80238724)
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Keywords | 精神分裂病 / 遺伝 / 事象関連電位 |
Research Abstract |
精神分裂病ではまだその詳細は明らかではないが、遺伝的な要因の関与が広く知られている。事象関連電位は、神経生理学的な認知の指標と考えられるが、精神分裂病においてはP300成分の異常などが同疾患の神経機構の脆弱性を示す生物学的なマーカーとなりうる可能性が指摘されている。従って、P300成分についても遺伝的な影響下で、性状が変化することが予想される。本年度は4名の精神分裂病およびその同胞者について事象関連電位を記録した。事象関連電位の記録方法は低頻度刺激2000Hz,20%、高頻度刺激1000Hz,80%の聴覚オドボール課題を用い、電極はFp1,Fp2,F7,F8,F3,F4,C3,C4,P3,P4,T5,T6,Fz,Cz,Pz,EOG(International 10-20 system)、sampling rate 1000Hz、bandwidth 0.06-120Hzを用いた。精神分裂病は全員未服薬で、病型は妄想型2名、解体型2名であった。妄想型のP300成分は解体型に比して低下しており、それぞれの病型の同胞者では病者と類似の波形上の特徴が認められた。これは遺伝的に規定された認知に関わる脳神経系の構造、機能の類似性に由来しているもののと思われる。同胞では、病者と事象関連電位上の類似性を示すが、発病はしておらず、事象関連電位上の特徴がそのまま精神症状の出現、認知機能障害を示すものではないとも考えられる。引き続き症例を増やすと伴に、近赤外線分光法による検討も行っていく予定である。いくつかの神経生理学的な指標を組みあわせることにより、それぞれの検査における精神分裂病の遺伝的高危険者における認知機能の異常が独立した変化なのか、それとも相互に関連のある脳機能の系統的な変化なのかについて一定の答が得られるものと予想される。
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