2001 Fiscal Year Annual Research Report
アンギオゲニンの発現は消化器癌の悪性度を反映し,その発現抑制が癌治療へ応用できる.
Project/Area Number |
12671206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下山 省二 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60242145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上西 紀夫 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (30126031)
清水 伸幸 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (70262128)
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Keywords | アンギオゲニン / 血管新生因子 / 胃癌 / 大腸癌 / 蛋白分解酵素 / 癌の浸潤転移 |
Research Abstract |
1.大腸癌におけるアンギオゲニン発現は癌の悪性度を反映する. 大腸癌患者94例,対照として52例の健常人血清について,術前血清中のアンギオゲニンの濃度をELISA法にて測定し,さらに58例の大腸癌組織および非癌部正常組織中のアンギオゲニン蛋白やそのmRNAの発現を免疫染色法およびIn situ hybridization法にて検討した.われわれは,血清中および組織中アンギオゲニン蛋白やそのmRNAの発現と癌の悪性度とが相関することをこれまで確認しているが,さらに癌の浸潤先端部でのアンギオゲニンの発現が増強していることをあらたに観察した.アンギオゲニンは蛋白分解酵素としての活性を持つことが報告されており,浸潤先端部でのアンギオゲニンの高発現は癌の浸潤に有利に働き,それが癌の悪性度に反映していることが考えられる.さらにわれわれは血清中のアンギオゲニンの濃度が術後の無再発期間,術後生存率と有意に逆相関したことを確認し,アンギオゲニンの発現が癌の進行度を反映し術前の悪性度予測に貢献できることが示唆された. 2.胃癌癌患におけるアンギオゲニン発現について. 大腸癌同様胃癌においても癌の進行度とアンギオゲニン発現とが相関することを報告してきたが,さらに症例数を増加させて,123例の胃癌患者および健常人65例の血清中のアンギオゲニン濃度,52例の胃癌組織中のアンギオゲニン蛋白およびmRNAの発現について検討した.胃癌においても,血清中のアンギオゲニンの濃度が術後の無再発期間と有意に逆相関し,さらに術後生存率とも逆相関する傾向があり,この傾向はより進行した症例で顕著であった.したがって胃癌においてもアンギオゲニンの発現が癌の進行度に寄与するという仮説が支持され,現在,患者の術後観察期間のデータを集積中である.
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