2002 Fiscal Year Annual Research Report
肝不全治療に対する経腸栄養を利用した遺伝子治療の試み
Project/Area Number |
12671269
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
岡本 友好 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00246381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二川 康郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (70317999)
鈴木 裕 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20241060)
久保 宏隆 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助講師 (70119791)
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Keywords | 肝不全 / 経腸栄養 / 遺伝子治療 / アデノウイルス |
Research Abstract |
1.HGF遺伝子を含むadenoviral vectorの至適投与量の決定 HGF遺伝子を含むadenoviral vectorを使用して、経腸投与における各臓器における発現と毒性を検討した。10^7pfuから10^<10>pfuまで投与したが、10^7,10^8では、胃、小腸、肝にHGFは認められず、10^9,10^<10>で胃、小腸、肝に発現が認められ,10^9と10^<10>で差を認めなかった.また,死亡ラットは存在しなかった.よって10^9pfuを至適投与量とした. 2.肝不全モデルの確立と経腸栄養の有効性 10%グルコースを定時的に与えない限りは全例3日以内に死亡する95%肝不全モデルを作成した.肝臓切除後,胃管チューブを留置した.術後胃管チューブより,10%グルコースのみ,分岐鎖アミノ酸のみ,10%グルコース+分岐鎖アミノ酸を投与すると生食のみ投与に比べ,生存率がいずれも上昇した. 3.治療実験 肝不全モデルへのHGF遺伝子を含むadenoviral vectorの経腸投与を行い,生存率,死因,各臓器へのHGF濃度の測定を行った.生食投与群,lacZ-adenovirus群HGF-adenovirus群で生存率に有意差を認めなかった.3日生存率は,それぞれ20%,0%,20%で,胃,小腸にlacZ, HGFの発現認められたが,肝には認めなかった.血清からもHGFは検出されなかった. 4.本研究での結論と課題 (1)肝不全時の経腸栄養の有用性は証明されたが,HGF遺伝子導入のみでは生存率を改善させられなかった. (2)さらなる経腸投与による遺伝子導入効率の向上と,経腸栄養+HGF遺伝子導入にて肝不全モデルの成績を検討する.
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