2000 Fiscal Year Annual Research Report
食道扁平上皮癌における蛋白生合成開始因子の発現とその制御に関する研究
Project/Area Number |
12671274
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
天野 定雄 日本大学, 医学部, 講師 (80159459)
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Keywords | 食道癌 / 扁平上皮癌 / 蛋白生合成開始因子 / EIF4E |
Research Abstract |
食道扁平上皮癌におけるeIF4Eの発現機構と意義を明らかにするためにeIf4eの発現を手術により切除された食道癌組織に免疫組織染色を行い,同時に採取した腫瘍組織からRT-PCRにてm-RNAを,western blot法によりeIF4E蛋白の発現を検討している.現在のところ7例で測定可能であったが,eIF4Eの発現は腫瘍の分化度,進行度との関連性が示唆されている.すなわち,高分化型よりも低分化型の扁平上皮癌に発現が多く,また,表在型の癌よりも深達度の深い例で発現多く,腫瘍の先進部に発現が多い傾向があった.これらは主として免疫組織染色による検討であり,western blotやRT-PCRの検討ではサンプリングの部位や数に限界があり,症例数の少ないこともあり,統計学的な有意差はいまだ見られていない.現在症例数を増やして検討を重ねている.また,同時に測定したp21,cyclin D1,VEGF,thymidine phosphorylase,FGFなどとの発現の関連性ではこのeIF4Eの発現は血管新生増殖因子とされるVEGFやPD-ECGFなどのサイトカインと関連して発現する傾向が窺われた.さらに血管密度やKi67などの核蛋白関連抗原の発現との関連性も示唆され,これに関しても症例を重ねて検討している.一方,自立された食道癌のcell lineを用いて同様の検討を行いこれらのcell lineを対象としたeIF4Eの発現を確認しており,遺伝子導入の予備実験を行っている.
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