2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671291
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 雅人 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (90282128)
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Keywords | 肺潅流モデル / 肺保護 / 体外循環 / IL-6 / 顆粒球エラスターゼ / 白血球除去 |
Research Abstract |
体重35〜40kg程度の羊に胸骨正中切開を行い、通常の人工心肺による体外循環を開始したのち肺を摘出して肺動脈に送血し肺静脈から脱血する肺単独潅流モデルを作成した。これを用いて体外循環が肺の循環と換気能力に及ぼす影響を検討し、肺の障害を軽減させる手段として白血球除去を試みた。まず肺潅流血液量を一定にして送血ラインの圧モニターを介して潅流圧を記録して経時的に肺血管抵抗値を測定した。また潅流肺は人工呼吸器により換気して呼吸管理モニターを用いて気道内圧や気道コンプライアンスの変化も経時的に記録した。1時間の肺潅流中に潅流前、潅流10分、30分、60分後にサンプリングした肺動脈血、肺静脈血中のchemical mediator (Interleukin-6,顆粒球エラスターゼ)を測定した。その結果、体外循環により経時的に血中の顆粒球エラスターゼが増加し、肺血管抵抗上昇と肺の酸素化能の低下をもたらすことが明らかとなった。次に肺潅流回路に白血球除去フィルターを組み込み白血球除去が肺機能改善に及ぼす効果をみたところ白血球除去により潅流血中の顆粒球エラスターゼが低下し肺機能保護に効果のあることが示唆された。また実験中に採取した肺の組織標本についてその病変を現在検索しているが、これまでの結果より、体外循環中の肺機能障害は循環血中の白血球が活性化されて放出されたchemical mediatorが肺血管の内皮の障害をもたらし、循環障害や換気効率の低下をきたしていると推測される。そのため体外循環中の肺保護には白血球除去のほか、白血球の脱顆粒阻止因子や白血球-血管内皮接着分子阻害物質投与などが有効と考えられる。
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