2002 Fiscal Year Annual Research Report
尿排出時の仙髄反射活性測定を用いた痴呆症例における機能性尿失禁の鑑別診断
Project/Area Number |
12671517
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中川 晴夫 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (80333574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 信 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (70282134)
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Keywords | 仙髄反射活性 / 球海綿体反射 / 痴呆 / 機能的尿失禁 |
Research Abstract |
本研究では仙髄反射活性(主に球海綿体反射)を応用した排尿時の尿道括約筋弛緩に関する新しい客観的検査法の確立と、本検査法を尿失禁が合併する意志疎通困難な痴呆症例に臨床応用して、これまで困難であった無抑制括約筋弛緩による尿失禁と機能性尿失禁の鑑別診断を行うことを目的とした。その結果、以下検討を行いその成果を得ることができた。 1)簡便で非侵襲的な排尿中の仙髄反射活性測定法の確立 通常正常排尿において、括約筋は弛緩し、仙髄反射活性(球海綿体反射)排尿中抑制されることが知られている。しかし、無抑制括約筋弛緩の患者では反射の抑制が不十分で筋電図上括約筋の活動が記録される。我々は、この反応を尿流動態検査中に亀頭部または陰核を刺激することにより表面筋電図においても観察されることを明らかとした。(日泌尿会誌.91,641-644,2000.) 2)1)による無抑制括約筋弛緩と機能的尿失禁の鑑別 1)の結果をふまえて、無抑制括約筋弛緩症例と、機能的尿失禁症例(痴呆症例以外)の鑑別を行った。筋電図記録における条件設定により、表面筋電図上においても両者の違いを描出することが可能であった。この検査法により無抑制括約筋弛緩と機能的尿失禁は鑑別可能と考えられた。 3)痴呆症例への応用 痴呆症例に対しこの検査法を応用したところ、ほとんどの症例が機能的尿失禁と診断され、無抑制括約筋弛緩と診断された症例はごく少数例であった。無抑制括約筋弛緩が少数例であったため、統計学的有意差は得られなかったが、無抑制括約筋弛緩症例においては通常の尿失禁に対する治療(薬物療法・トイレへの定時誘導など)はほとんど無効であった。この結果からこの検査法により痴呆老人への尿失禁治療法選択の一助になる可能性が示唆された。
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