2002 Fiscal Year Annual Research Report
VTR咽頭食道透視の定量解析による嚥下障害の病態の解明
Project/Area Number |
12671672
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
梅崎 俊郎 九州大学, 医学部附属病院, 講師 (80223600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 一雄 九州大学, 医学部附属病院, 講師
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Keywords | VTR咽頭食道透視査 / 嚥下障害 / 定量解析 / 喉頭挙上遅延時間 / 咽頭クリアランス / 加齢 / 頚部郭清術 / 放射線治療 |
Research Abstract |
過年度までの研究により、咽頭クリアランスからみた嚥下機能は、高齢者においても比較的よく保たれており、健常者における咽頭クリアランスの平均値は90%以上で、男女差もみとめられないことが判明した。しかしながら65歳以上の高齢者では加齢と咽頭クリアランスとの間に負の相関がみられた。また、嚥下時の喉頭挙上に関しては、喉頭の安静位は加齢とともに下降するするが、それを代償するかの如く喉頭挙上距離は加齢とともに増大し、喉頭挙上遅延時間は70歳台までほぼ一定で挙上の遅れは認められないことが明らかとなった。 この様な結果を踏まえ、本年度の研究実施計画に基づき、頭頚部癌手術、頭頚部への放射線照射の咽頭クリアランスおよび喉頭挙上遅延時間(咽頭期嚥下の惹起性)におよぼす影響について解析した。その結果、頚部郭清術や咽喉頭粘膜への照射が嚥下機能にさほど影響を及ぼしていない症例も認められるものの、多くの症例では咽頭クリアランスは低下し、特に頚部郭清側の咽頭収縮不良である症例が認められた。喉頭挙上遅延時間は特に放射線照射例にて遅延する症例が認められた。誤嚥には至らないまでも、嚥下機能の低下した症例は多く存在することが確認された。これらの検討より、頚部操作による迷走神経咽頭枝の損傷による咽頭側壁の機能不全による駆出力の低下が示唆された。放射線照射等により咽頭知覚が低下することで、喉頭挙上も遅延すると考えられた。不要な剥離操作や郭清範囲の拡大は瘢痕形成の原因となるため、避けるべきであり、また迷走神経咽頭枝は多くの場合これを確認し、保存することで、嚥下機能を悪化させないことは可能である。頭頚部悪性腫瘍に対する手術を行う際は治療成績の向上を目指すとともに、機能温存を考慮した手術を行うことが重要であると思われた。
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Research Products
(2 results)