2001 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄炎における痛みと血管拡張の相互作用に関する研究-特に神経原性炎症に関わる血管拡張物質の同定-
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12671847
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
笹野 高嗣 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (10125560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 憲明 東北大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70250800)
遠藤 康男 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (50005039)
刈田 啓史郎 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (40004600)
飯久保 正弘 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (80302157)
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Keywords | 歯髄炎 / 血管拡張 / 痛み / 感覚神経 / 神経原性炎症 / 基調血流 / HDC / 交感神経 |
Research Abstract |
1.ヒスタミンは炎症メデイエーターとしての微小血管系の調節及び免疫反応全般に密接に関係する。肥満細胞と好塩基球からのヒスタミン供給機構には、これまで知られてきた抗原・抗体反応による供給以外に、HRF(histamine releasingfactor)などのサイトカインやケモカインによる機構が存在することが明らかになった。さらに、サイトカインネットワークと連動するHDC誘導による新しいヒスタミン供給機構の存在も明らかになった。ヒスタミンがTh1サイトカイン(細胞性免疫亢)とTh2サイトカイン(液性免疫亢進)に対し異なる作用を持つことは、免疫反応と病態との関連性を考えるうえでも極めて興味深い。歯科における歯髄炎、歯周炎、顎骨骨髄炎、顎関節症、アナフィラキシー反応などのモデル実験で、炎症反応と組織に誘導されたHDCの密接な関係が観察されている。また、ヒト歯周炎組織にHDC活性を検出しており、今後の臨床応用が期待される。 2.一方、我々は、これまでに歯髄血流の調節機構に関する一連の研究を報告し、本研究によって、刺激に対する歯髄血流の変化を決定する最も重要な因子はbaseline blood flowにあることを見いだした。すなわち、切断したネコ下歯槽神経を末梢方向に電気刺激すると、感覚神経と交感神経が同時に刺激されるために、感覚神経由来の血管拡張と交感神経由来の血管収縮が同時に引き起こされる。このとき、歯を冷却して血流量を予め減少させておくと、同じ刺激に対して血流はすべて増加し、逆に血流量を予め増加させておくと、血流は全て減少反応に取って代わることを証明した。すなわち、血流の増減及ぴ変化量はbaseline blood flowに完全に依存することが明らかとなった。
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[Publications] 吉田篤史, 笹野高嗣, 遠藤康男: "ヒスタミンによるTh1/Th2サイトカインの制御"臨床免疫. 36・2. 319-329 (2001)
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[Publications] T.Sasano, N.Shoji et al.: "Dependence of pulpal blood flow-responses on baseline blood flow"Archives of Oral Biology. 47(2). 131-137 (2002)