2002 Fiscal Year Annual Research Report
再植歯歯髄および歯周組織に関する総合的研究 知覚神経の動態ならびに根尖封鎖材の開発
Project/Area Number |
12671858
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
久保田 稔 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (10005100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 清隆 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (10326697)
松本 範雄 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (90048562)
工藤 義之 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (10195464)
植田 正彦 太平化学産業株式会社, 研究開発部, 課長代理
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Keywords | 石膏 / 吸収性材料 / 組織反応 / 生体親和性 |
Research Abstract |
知覚神経の動態 1.電気生理学的検討:再植歯の歯髄および歯根膜の感覚を電気生理学的に捉える一環として、歯牙や口腔粘膜への機械的刺激に応じる細胞を延髄の三叉神経脊髄路核尾側核およびその内側の網様亜核で記録した。これらの細胞は末梢受容野の電気刺激に対する応答様式から1)30msec以下の短い潜時で応じるもの、2)30msec以上の潜時で応じるもの、3)短潜時と長潜時の両方で応じるもの、の三群に分類された。侵害受容細胞は1)〜3)全ての応答様式を示すが、非侵害受容細胞である低閾値機械受容細胞はA線維からの入力を示唆する1)の応答様式のみを示した。 根尖封鎖材の開発 2.理工学的検討:試作した高純度の硫酸カルシウムを海外で市販されている石膏系骨補填材ならびに国産の市販焼き石膏と比較検討した。その結果、試作硫酸カルシウムは単斜晶系半水石膏であり、CaSO_4半水塩であることが示唆された。試作硫酸カルシウムに含有されていたヒ素濃度は検出限界である0.2ppmを下回っており、比較した他の材料より低い濃度であった。本結果については、日本歯科保存学雑誌第45巻3号にて報告した。 3.病理組織学的検討:試作硫酸カルシウムの生体親和性を検討することを目的として行った。ラット前歯を抜歯し、根基部より歯髄を除去した後、歯髄腔内を低融点のガッタパーチャにて充填し、根基部を試作した高純度の硫酸カルシウムまたは強化型ユージノールセメントにて充填し再植した際の歯周組織の反応について比較検討を行った。結果として、強化型ユージノールセメントでは、術後4週目に至ってもセメントが残遺し、根尖周囲組織に強い炎症性細胞浸潤が認められた。一方、試作したメディカルグレードの硫酸カルシウムは術後2週目までにほぼ吸収され、根尖周囲組織の炎症は軽度であり、術後4週目では、根尖周囲組織における炎症はほぼ完全に消退し、骨組織の添加が認められた。本結果の一部については、第116回日本歯科保存学会春季大会にて報告した。現在、根尖周囲組織ならびに歯根膜中の神経線維の動態について免疫組織化学的に検討中であり、今後も継続して行う予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 工藤義之, 南 清隆, 橋本正則, 菊地正浩, 柳谷隆仁, 植田正彦, 久保田稔: "石膏系骨補填材料の試作および理工学的性質"日本歯科保存学雑誌. 45・6. 515-521 (2002)
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[Publications] 村田純一郎, 松本範雄: "ラットの三叉神経脊髄路核尾側核および網様亜核の侵害受容細胞に対する扁桃体条件刺激の抑制効果"岩手医科大学歯学雑誌. 27・3. 246-260 (2002)