経口避妊薬低用量ピルに含まれる合成性ホルモンの歯周組織への影響

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12672000
• Research Institution: Hiroshima University
• Principal Investigator: 森下 真行 広島大学, 歯学部, 講師 (90166405)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 島津 篤 広島大学, 歯学部, 助手 (10274094)
• Keywords: エストラジオール / 骨髄細胞 / 低用量ピル / 合成性ホルモン

Research Abstract

歯科界において、古くから思春期性歯肉炎や妊娠性歯肉炎など、性ホルモンと口腔内の炎症との関連が示唆されてきたが、今だ明確な答が出ていない。平成11年6月、厚生省の中央薬事審議会が、経口避妊薬低用量ピルを医師の処方が必要な医療用医薬品として承認を答申した。今後ピル使用が一般化すると、従来見られなかった様な歯周組織の炎症が出現する可能性があり、歯周組織に対する性ホルモンや合成性ホルモンに対する影響を遺伝子レベルで詳細に分析することは非常に意義があることだと考えられる。
歯牙を支持する歯周組織は、歯肉、歯根膜、歯槽骨、骨髄等から構成され、特に骨髄細胞は多分化能を保持することから近年、注目を集めている。今年度、骨髄細胞の単離、培養を行い、エストラジオールに対する影響を検討した。
今年度以下の事項を行った。
(1)ウサギ骨髄液より骨髄由来未分化間葉系(BMS)細胞の単離とBMS細胞の培養法を確立した。
(2)BMS細胞の分化におけるエストラジオールの影響の検討し、エストラジオールは分化に対して抑制傾向を示すことを明らかとした。
今後、分子生物学的、組織学的手法を用いてエストラジオール並びに合成エストラジオールの影響を詳細に検討する予定である。さらにエストラジオールによるBMS細胞の分化に対する抑制作用は、エストラジオールに特異的なものか否かを明らかにするため、プロゲステロン、テストステロン等その他のステロイドホルモンとの比較検討を行う予定である。