2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12672281
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
加藤 欣子 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (10264516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 春樹 浅井学園大学, 人間福祉学部, 助教授 (70295939)
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Keywords | 精神分裂病圏障害者 / リハビリテーション / 障害受容 / 人生形成 / 強化モデル |
Research Abstract |
当初の研究計画に基づき、以下のとおり実施した。 1.研究方法:障害受容に関する先行研究とナラティブセラピーに関する文献の検討を行い、データ収集のためのインタビューガイドを作成した。 2.データ収集: (1)研究計画書と研究協力依頼を共同作業所運営委員長および対象者が通所する作業所所長に送付し、さらに、電話で協力依頼し承諾を得た。作業所所長から予定していた対象者の近況に関する情報を得て、対象の選定を行った。対象者には、文書で研究協力依頼をし、承諾を得た後、インタビューした。 (2)精神科医である共同作業所運営委員長から、対象者へのインタビューに関する留意事項等について教授を受けた。 3.対象者の概要と第一段階の分析 対象者は男性3人(30代1名、40代1名、50代1名)、女性2名(40代2名)だった。5人とも未婚で、1名の女性以外は共同住宅、公営住宅、民営住宅で単身生活をしていた。データの一部を分析し、「精神分裂病圏障害者の人生形成と地域リハビリテーション機能」について、一定の知見が得られた。 小児期からの精神疾患体験をもつ40歳の女性は、「普通の人のように働きたい。もっとお金が欲しい」と願いながらも、過去のつらいリクルート体験の再現を怖れ、共同作業所の枠組内に自己の人生を留めようとしていた。生活保護と公営住宅を確保し、生活の基本的枠組みは得られている様でありながら、常時緊張感が続き均衡が崩れると自己否定感にさいなまれ、生活的自己価値は定立されないままであった。このような事例には、強化モデルに典型的な本人の「強さ」に着目した個別的持続的な支援が必要と考えられる。わが国の地域リハビリテーションの中核となっている共同作業所にも、この種の専門的といえる支援方略の必要性が顕在化しつつあることがうかがえた。この成果を第一回日本国際精神障害予防会議(2001年6月24日・25日、於:沖縄)に報告するため、演題要旨を送付した。
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