2002 Fiscal Year Annual Research Report
下部消化管手術患者のQOL向上のための系統的看護支援方略に関する研究
Project/Area Number |
12672316
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
数間 恵子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10114258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩間 毅夫 財団法人 佐々木研究所, 研究員 (70114741)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 回腸人工肛門 / 栄養 |
Research Abstract |
近年、潰瘍性大腸炎(UC)の治療の一つとして大腸全摘術が行われるようになってきたが、そのことが食事や排泄に多大な影響を与え、QOLに大きく影響していると考えられる。また、UCでは外科的治療前の内科的治療期に厳しい食事制限を強いられる場合があり、術後に過食傾向になるという事例も報告されている。そこで、術前後の経過において、食事や排泄に関してどのような困難を経験しているのかを明らかにすることを目的として研究を行った。 2001年9月から12月までに、Y市民病院外科外来を受診したUC患者で、適格条件を満たす患者に文書により研究の主旨を説明し書面によって同意が得られた者に質問票を手渡し郵送により回収した。除外条件は、永久ストマ造設、他の術後3ヶ月以内、他の疾患(特に癌)を併発、研究主旨の理解困難、身体的に重篤とした。調査内容は、体調の変化は、1)内科的治療時の食事制限への苦痛、2)大腸全摘術後の体重増減・低血糖症状の出現の有無・頻度・程度、3)食事内容の変化および排便状況、4)日常生活上の食事・排泄に関する困難と独自の解決方法、を質問票で選択肢形式および自由回答形式で収集した。また、最近の食物摂取内容を、簡易食物摂取頻度調査票を用いて調査した。対象者の医学データや背景データは診療録から収集した。 適格者98名のうち、研究への参加拒否は7名であった。理由は、忙しくて時間がない6名、手術をしなければよかったと思っているので話したくない1名、であった。同意の得られた91名中、83名から質問票の返送があり、記入漏れのない男性43名1女性37名の計80名で解析を行った。 術後の食行動を検討するために、簡易食物摂取頻度調査票から得られた脂質エネルギー比を用いて、性別・年代別に一般人を対象とした平成12年度国民栄養調査と比較した。その結果、男性UC患者では60〜69歳で、女性UC患者では50〜59歳で脂質エネルギー比が有意に高かった。今後は、脂質エネルギー比を上昇させる要因について探索的に検討を行い、UC患者が術後に感じている困難を明らかにする予定である。 また、別の集団の追跡中に明らかになった排泄物処理上の問題に関し、本患者に適応される大腸全摘・空置的回腸人工肛門造設に特徴的な便性に合わせて人工肛門装具を改良し、装具内容物処理が格段に容易にできるようにした。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ito N, Kazuma K, Kobayashi J, Kaku S: "DEVICE FOR OPEN-ENDED BAG MANAGING OF WATERY AND STOOLS"The 1^<st> Congress of the Asian Society of Stoma Rehabilitation. 134 (2002)