2001 Fiscal Year Annual Research Report
ケーキのスポンジ組織形成とその性質に及ぼす成分の熱変性状態や成分間反応の影響
Project/Area Number |
12680132
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井川 佳子 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (90136391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本澤 真弓 兵庫大学, 健康科学部, 教授 (00132374)
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Keywords | ケーキ / スポンジ組織 / 熱分析 / 熱変質 / 澱粉 / 蛋白質 / 官能評価 |
Research Abstract |
平成12年度には、いくつかの測定に関わる実験条件を検討するとともに、研究課題に即した試料調製のために、ケーキ材料中の糖組成を変化させて種々の測定を実施した。この結果を元に今年度は、キシリトール(X)及びグルコース(G)と、マルチトール(MT)及びラクチトール(LT)との混合糖を用いることとした。即ち、X-MT、X-LT、G-MT、G-LTの4系列で、糖の配合比は1:3、1:1、3:1の3種とし、これに各糖単独の4種を加えた計16種を用いた焼成ケーキを中心に、実験を行った。得られた結果は次の通りである。 1)いずれの系列も低分子糖(XとG)の割合が増加すると、ケーキ内層中心部の最高到達温度が低くなり、最大で4℃程度の差が現れた。 2)ケーキ内層減圧乾燥試料の示差走査熱量測定(DSC測定)の結果、ケーキ焼成時に未変性のまま残された成分による吸熱ピークが現れた。また、このピークのエンタルピー変化量とケーキ内層の最高到達温度との間には、負の相関が見られた。 3)ケーキ内層脱脂乾燥試料のDSC測定、並びにケーキ内層溶出画分のSDS電気泳動結果から、上記の未変性成分には澱粉とタンパク質とが混在すること、タンパク質の変性程度はケーキ内層の最高到達温度及び糖の種類と関連することが示唆された。 4)官能検査の結果、同じ系列内で低分子糖の割合が増加すると、概して「口触りが柔らかい」や「しっとりしている」と感じられることが示された。しかしこのような食感と未変性成分量や糖の種類との関係については、さらに検討を要する課題と考えられた。
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