2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680294
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小林 由子 北海道大学, 留学生センター, 助教授 (30250517)
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Keywords | 漢字 / 学習活動 / メタ認知 / 学習者 / 教授者 / 教室 |
Research Abstract |
本研究では、「日本語教育現場での漢字学習活動」を明確に記述することを主たる目的としている。今年度は、学習者の「メタ認知」を重視した観点から、教授者がどのように学習者と関わっているのか、また、関わっていくべきかについての記述を目指した。「メタ認知」は、「メタ認知的知識」と「メタ認知的コントロール」の二つの側面を持つ。「メタ認知的知識」には、学習者の自分自身についての認知・学習観・課題に関する知識などが含まれ、これらの知識によって、自らの学習のゴールを設定し、計画を立て、学習を遂行する。インタビュー調査で漢字学習に対する信念・漢字学習ストラテジーとして学習者が言及するのは、まさにこのメタ認知的知識・コントロールの部分である。一方、教授者もまた、漢字学習に対する信念や漢字教授ストラテジーを持つ。教室内の学習場面は、学習者のメタ認知と教授者のメタ認知がぶつかる場であると言える。学習者の漢字学習活動は、教室内と教室外に分けられる。多くの学習者は、教室を知識提供の場として捉え、教室で与えられた知識を、教室外で繰り返し書く・イメージやストーリーで漢字を覚えるなどの方法で自分のものとすることが多いようである。一方、教師の漢字学習に対する考え方・教師が教室での漢字学習に際して用いる教授ストラテジーには個人差がある。今のところ、教室での学習者と教授者との関わりは、あまり有機的であるとはいえず、また、能動的に、メタ認知を働かせて自らの知識に組み込む形で学習することが記憶・理解・問題解決を助けるという認知心理学的知見が活かされているとも言い難い。今後は、効果的な教室活動検討のため実験的な手法が必要であろう。また、教室での学習をどう捉えていくかについては、検討の余地がある。認知的アプローチだけでなく状況的アプローチ的な観点も取り入れていく必要があるかもしれない。
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Research Products
(1 results)