2000 Fiscal Year Annual Research Report
中空糸分離膜を用いたトリチウムの分離濃縮と測定法に関する開発研究
Project/Area Number |
12680513
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
佐々木 慎一 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 助教授 (80178649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 健訓 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 教授 (40162961)
奥野 健二 静岡大学, 理学部, 教授 (80293596)
近藤 健次郎 高エネルギー加速器研究機構, 共通研究施設, 教授 (20004434)
沖 雄一 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 助手 (40204094)
沼尻 正晴 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 助手 (20189385)
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Keywords | 中空糸分離膜 / トリチウム / ポリイミド / 加速器 / 環境放射能 / 電離箱 |
Research Abstract |
トリチウム(T)は半減期が約12年と長く、加速器施設から環境への放出が心配される代表的な核種で、その制御は放射線防護の観点から重要な課題である。本研究では、ポリイミド中空糸分離膜(以下「分離膜」)に着目し、その分離濃縮の基本的特性を明らかにすると共に、それを利用した低レベルトリチウムの実時間測定法を開発することを目的とし、その環境放出を低減化する手法の確立を目指している。今年度は、様々な条件下並びに種々の形態におけるトリチウム(HT、HTO、CH_3T等)の透過特性を知り分離濃縮の可能性を検討するため、分離膜試験装置を設計製作し、窒素中の非放射性水素同位体(水素及び重水素)、酸素、二酸化炭素及び空気中水素に対して、各々の濃縮度を測定した。装置は、分離膜モジュール、試料調整用タンク(250l)、試料循環用ポンプ、流量計、隔膜型圧力計から構成され、配管にはステンレスパイプ、金属継手等を用いた。試料気体の成分分析には四重極型質量分析計並びにガスクロマトグラフを用いた。分離膜における供給側に対する透過側の圧力比(γ)を変化させて測定した結果、水素及び重水素に対して最大22倍以上の濃縮度が得られ、濃縮度自体には同位体効果が無いことが判明した。従って、トリチウムの場合も同様な濃縮度を示すと考えられる。また、水素同位体の濃縮度は酸素やアルゴンと比較して大きく、これらの核種からの分離濃縮の可能性が示された。また、十字流モデルを用いた計算の結果は実験値に良く一致し、分離機構を解明する上でも大きな手掛かりが得られた。これらの結果はIRPA10等の国際会議、放射化学会等の学会で発表され、印刷公表された。現在、水の濃縮特性に関する測定が行われる一方で、放射能測定装置の開発並びにデータ収集系の整備が行われている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 島田亜佐子: "中空糸高分子膜を用いたトリチウムの濃縮について"KEK Proceedings. 2000-13. 37-41 (2000)
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[Publications] 佐々木慎一: "加速器環境のモニタリング"放射線. Vol 26 No.3. 11-22 (2000)
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[Publications] S.Shimada: "Development of Tritium Monitor Using Hollow Filament Polyimide Membrane"Proceedings of 10th International Congress of The International Radiation Protection Association. P-4a248-1-5 (2000)