2004 Fiscal Year Annual Research Report
電弱対称性の破れのダイナミクスと、その宇宙論への応用
Project/Area Number |
13135207
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉村 太彦 岡山大学, 理学部, 教授 (70108447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 純治 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (60300670)
棚橋 誠治 東北大学, 理学研究科, 助教授 (00270398)
諸井 健夫 東北大学, 理学研究科, 助教授 (60322997)
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Keywords | 宇宙の暗黒エネルギー / 宇宙の暗黒物質 / 超対称性 / ヒッグスレス模型 / 余剰次元 / 密度ゆらぎ / インフレーション / カーバトンシナリオ |
Research Abstract |
以下の研究成果が得られつつある。 1.ヒッグス粒子を導入することなく、電弱対称性の破れを破る可能性として最近注目されているヒッグスレス模型について、LEP/SLCやLEP2などでの精密測定による制限を議論した。この模型では、縦波W, Z散乱のユニタリティは、ヒッグス粒子ではなく、カルッツア・クライン粒子の交換によって保証されている。(棚橋担当) 2.超対称大統一模型はRパリティの保存によりもっとも軽い超対称粒子(LSP)は安定になり、その粒子は宇宙の暗黒物質の候補である。LSPがSU(2)ゲージチャージを持つ場合に着目し、その対消滅過程、原子核との弾性散乱過程に対する量子補正を評価し、ツリーレベルに対し有意な効果があることを示した。(久野担当) 3.密度ゆらぎの起源に関して、インフレーション中に起こるカーバトン場の量子ゆらぎに帰着させる新たな機構を提唱した。(諸井担当) 4.トンネル効果が宇宙の環境中でどのように起こるのか、量子系としての振る舞いとともに、バリアークロスの現象が環境との相互作用でどのように増幅されるかを、第1原理から出発して、明らかにした。具体的には、熱平衡状態にある環境と相互作用のある、小さな自由度の系の挙動、特にこの系が1次元のポテンシャルで記述され、かつトンネル効果を引き起こしうる準安定状態にあるとき、トンネル現象が環境との相互作用により、どのように引き起こされるか、を実時間形式(Feynmann-Vernonの汎関数法)を用いて調べた。その結果、バリアークロス現象が環境からのエネルギー流入によって促進される機構を明らかにした。(吉村担当)
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Research Products
(6 results)