赤道域の大気波動の四次元構造とエネルギー輸送の研究

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13136203
• Research Institution: Kyoto University
• Principal Investigator: 津田 敏隆 京都大学, 宙空電波科学研究センター, 教授 (30115886)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 中村 卓司 京都大学, 宙空電波科学研究センター, 助教授 (40217857)
• Keywords: 気象学 / 地球観測 / 大気現象 / 赤道域 / 大気波動 / レーダー / ラジオゾンデ / 中層大気

Research Abstract

本年はA01,03班と共同でEARサイトでのラジオゾンデ集中観測の準備をすすめ、特定領域各班が整備した観測装置を有機的に組織した雨季の終わりから乾季にかけての総合観測キャンペーンを開始した。本キャンペーンは積雲対流に伴う収束発散と波動励起のメカニズムを定量的に把握することを目指している。
また、AO4班固有の研究活動として、前年度にスマトラ島EARサイトに設置した流星レーダーの連続運用を続行するとともに、'ジャワ島南岸のパムンプクに新たにMFレーダーを構築した。これらと、既に日豪イの共同で西カリマンタンのポンチアナで1995年より実施しているMFレーダー観測を加えて、インドネシア赤道域に一辺約800kmの正三角形状に展開したリージョナルネットワークでの観測を開始した。なお、流星レーダーと赤道大気レーダー(EAR)の間に電波干渉が発生したため、年度後半にアンテナを増設してこれを取り除くことを行った。
さらに、ラジオゾンデやレーダーによる観測の、時間・高度範囲が充分あるいは一様でないことを補うため、大気波動の3次元数値モデルを用いて観測結果の物理解釈を進展させた。すなわち、前年度に行った3次元モデルを広領域に拡張して、種々のスケールの重力波のモデル計算を大型計算機を用いて行い、その結果をワークステーションを用いて解析し、積雲対流起源の大気重力波の中間圏以高での砕波と大気不安定構造、および大気光構造との関連を明らかにした。
また、インドネシアでのレーダー観測・および大気光観測の蓄積データの解析およびこれらと国際ネットワーク観測、ならびに衛星観測との協同観測により重力波からプラネタリ波、赤道波まで種々のスケールの大気波動の構造、伝搬、励起について明らかにした。
以上のように本課題は順調に研究を進展させている。

Research Products

• [Publications] Nakamura, T., Aono, T, Tsuda, T., Admiranto, A.G., Acbmad, E., Suratno: "Mesospheric gravity waves over a tropical convective region observed by OH airglow imaging in Indonesia"Geophys.Res.Lett.. 30(17). 1882 (2003)
• [Publications] Stening, R.J., Tsuda, T., Nakamura, T.: "Ludar tidal winds in the upper atmosphere over Jakarta"J.Geophys.Res.. 108(A5). 1192 (2003)
• [Publications] Liebermann, R.S., Riggin D.M., Franke, S.J., Manson, A.H., Meek, C., Nakamura, T., Tsuda, T., Vincent, R.A., Reid, I.: "The 6.5-day wave in the mesosphere and lower thermosphere: Evidence for baroclinic/barotoropic instability"J.Geophys.Res.. 108(D20). 4640 (2003)
• [Publications] Wrasse, C.M., Nakamura, T., T Tsuda, Takahashi, H., Gobbi, D., Medeiros, A.F., Taylor, M.J.: "Atmospheric wind effect on the gravity wave propagation observed at 22.7 deg S-Brazil"Adv.Space Res.. 32(5). 819-824 (2003)
• [Publications] Takahashi H., Tsuda, T., Nakamura, T, Isoda, F., Gobbi, D., Sheer, J., Offermann, D.: "The lowest mesopause temperature in 1996 and 1997 at 23 degrees S"Adv.Space Res.. 32(9). 1781-1786 (2003)
• [Publications] Fujiwara M, Shiotani, M., Hasebe, F., Vomel, H., Oltmans, S.J., Ruppert, P.W., Horinouchi, T., Tsuda, T.: "Performance of meteolabor Snow White chilled-mirror hygrometer in the tropical troposphere : Comparisons with the Vaisala RS80 A/H-Humicap sensors"J.Atmos.Ocean.Tech.. 20(11). 1534-1542 (2003)