2003 Fiscal Year Annual Research Report
情報化・国際化の下における「市場支配的企業と法」の総合的研究-実証面を中心とした法社会的研究
Project/Area Number |
13302004
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
正田 彬 慶應義塾大学, 産業研究所, 名誉教授 (10051137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 岩和 明治大学, 法学部, 教授 (30281562)
古城 誠 上智大学, 法学部, 教授 (80013027)
金井 貴嗣 中央大学, 法学部, 教授 (50102877)
舟田 正之 立教大学, 法学部, 教授 (60062676)
土田 和博 早稲田大学, 法学部, 教授 (60163820)
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Keywords | 独占禁止法 / 電力産業 / 市場支配的事業者 / 事業法 / FERC / 経済力の濫用規制 / 新規参入 / 司法省反トラスト部 |
Research Abstract |
本研究は過去3年間にわたり、市場支配的地位にあると認められる事業者が存在する市場における当該事業者に対する独占禁止法の適用のあり方についての検討を積み重ねてきた。具体的には、電力産業を中心とするいくつかの産業について、当該産業における市場構造とそこでの事業者の市場行動の実態を把握する作業を積み重ね、それらを前提として、市場支配的事業者を対象とする事業法と競争秩序の形成・維持を目的とする独占禁止法を組み合わせた競争促進のための法規制のあり方の分析をしてきた。 上記の課題を遂行するためには比較法的研究が不可欠であるが、本年度においてもこのための現地調査を行った。アメリカについては卸売電力事業における市場取引を監視する連邦エネルギー委員会(FERC)の市場監視局、および電力事業におけるカルテルやM&Aにおける競争制限を監視する司法省反トラスト部と連邦取引委員会における担当部局にヒアリングをおこない、またドイツについては電力産業を管轄する連邦経済省担当部局、連邦カルテル庁、さらにはドイツ産業連盟に対するヒアリングをおこなって、法運用の現状とさらには立法の動向の調査をおこなった。また日本国内については、引き続き新規参入事業者を中心に電力業界からのヒアリングを継続するとともに、市場独占的事業者の経済力の濫用規制に関する立法作業を続けている公正取引委員会からの立法動向のヒアリングをおこなった。 以上の一連の国内外に亘る検討作業により、市場支配的地位にあると認められる事業者が存在する市場における独占禁止法および事業法のそれぞれの適用のあり方、および独占禁止法と事業法の規制当局間の連携のあり方について、従来は議論されていない重要な論点、および従来から議論のある点についても新たな知見を示し、その上で従来の研究に歩を進める結論を得ることができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 舟田 正之: "課徴金制度の強化に向けて"NBL. 774号. 8-19 (2004)
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[Publications] 柴田 潤子: "不可欠施設へのアクセス拒否と市場支配的地位の濫用行為(2)"香川法学. 23巻1-2号. 1-47 (2004)
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[Publications] 野木村 忠邦: "日本の独占禁止法における域外適用問題"日本大学法学紀要. 44号. 253-294 (2003)
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[Publications] 高橋 岩和: "EU競争法における制裁金及びドイツGWBにおける過料の減免制度の目的と機能"公正取引. 629号. 42-49 (2003)
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[Publications] 正田 彬: "流通取引ガイドラインにおける公正競争阻害性の検討"公正取引. 639号. 51-59 (2004)
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[Publications] 舟田 正之: "マスメディア集中排除原則の見直し-一試案"立教法学. 62号. 1-50 (2002)