2001 Fiscal Year Annual Research Report
日本における公共哲学の構築のための包括的研究――地球的公共哲学ネットワーク形成に向けて
Project/Area Number |
13302006
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 正弥 千葉大学, 法経学部法学科, 助教授 (60186773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒住 真 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00153411)
今田 高俊 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (00107517)
山脇 直司 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30158323)
金 鳳珍 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (90254614)
足立 幸男 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (10091092)
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Keywords | 公共哲学 / 公共性 / 公共政策 |
Research Abstract |
今年度は、公共哲学プロジェクトに関する全体研究会(合計三回)の開催、ホームページを起点としたネットワーク形成を中心に活動した。第一回全体研究会(2001,7,14-15東京大学)では、山脇直司と小林正弥が公共哲学をめぐる思想史的・概念的検討の報告を行い、またプロジェクトの運営委員会で今後の方針を検討した。第二回全体研究会(2001,11,10-11箱根ホテル小涌園)では、今田高俊が社会的ケアの観点から、足立幸男が将来世代と公共政策の観点から公共性をめぐる報告をした。また、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件の重大性に基づき、中野剛充が小林正弥の論説を紹介し議論を行った。 この事件は、公共哲学の観点からもきわめて重要であることから、本プロジェクトは当初の予定を一部変更し、第三回全体研究会を「地球的平和問題会議」と題し、12月28日〜30日に千葉大学で開催した。イスラム・アメリカの専門家をはじめ、宗教・国際政治・政治思想・平和・憲法の分野における先端の研究者に報告してもらい、学際的な活発な議論を行った。公共哲学の理念の一つは実践性にあり、現実問題を公共哲学の観点から分析し、あるべき方向を考えていくという意味では、大きな社会的役割を果たしたと言えよう。その成果は、東大出版会と勁草書房より出版する予定であり、現在編集中である。 この事件を契機として、本プロジェクトにおける大学間ネットワーク形成も、当初予定よりも早期に開始した。まず公共哲学ネットワークのホームページを開設し、千葉大学に公共哲学センターを設置して、ネットワークの各方面への拡大に努めている。ホームページでは、まず上述した地球的平和問題を中心に、広範囲にわたった情報収集と論説や時評の掲載を行ってきた。「公共哲学宣言」を公表し、さらに現在は、平和・福祉・環境・生成(ジェンダーや家族を含む)の領域に焦点を合わせて構成する形に、作り替えているところである。 その他にも、千葉大学では月一回のペースで千葉大学公共哲学研究会(政治哲学研究会)を行っており、さらには若手研究者や院生を中心に、公共哲学に関する著作の翻訳作業も進んでいる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 山脇直司: "「和」の脱・再構築とグローカルな公共哲学"東京大学出版会UP. 第351号. 36-41 (2002)
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[Publications] 山脇直司: "社会保障への公共哲学的アプローチ--その歴史的・現代的サーヴェイ"国立社会保障・人工問題研究所海外社会保障研究. 第138号. 5-13 (2002)
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[Publications] 今田高俊: "グローカル公共哲学の射程-新自由主義に抗して"東京大学出版会UP. 第352号. 6-11 (2002)
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[Publications] 黒住真: "イントロダクション公共哲学第三巻"佐々木毅・金泰昌編公共哲学(東京大学出版会). 第三巻. iv-viii (2002)
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[Publications] 小林正弥: "新々儒学革命--美徳-公共哲学の再建"千葉大学法学論集. 第15巻第4号. 43-99 (2001)
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[Publications] 小林正弥: "イントロダクション公共哲学第四巻"佐々木毅・金泰昌編公共哲学(東京大学出版会). 第四巻. v-x vi (2002)