2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における国土空間・社会空間の編成過程に関する歴史地理学的研究
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13308002
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中西 僚太郎 千葉大学, 教育学部, 助教授 (70202215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 拓 富山大学, 教育学部, 助教授 (30222376)
岡島 建 国士舘大学, 文学部, 助教授 (80242791)
椿 真智子 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (80236934)
関戸 明子 群馬大学, 教育学部, 助教授 (50206629)
河野 敬一 常磐大学, 人間科学部, 助教授 (70211894)
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Keywords | 牛馬耕 / 三里塚牧場 / 温泉地 / 都市計画運河 / 通勤・通学 / 個人誌 / 満州 / 石炭業 |
Research Abstract |
今年度は研究計画の最終年度にあたり、各自がそれぞれのテーマ、フィールドにおいて補充的な調査・研究を行い、最終的な研究成果をまとめた。 研究全体の理論的総括としては、近年の英米での研究成果をもとに、近代の歴史地理的研究において、個別的事象とその背後にある社会的「構造」との関係をとらえることの有効性が提示された。 個別的事象の今年度の新たな研究成果としては、国内の農村地域に関しては、明治期の茨城県における牛馬耕の導入・普及において、県の農政担当者・農事改良指導者の考えが大きな影響力をもったこと、千葉県の三里塚牧場を例に、開拓地の牧場景観が次第に審美的価値を持つものとしてとらえられ、観光資源として認識されるようになったことが解明された。山村地域については、全国的な温泉地数や温泉地別にみた入浴客数とその変化が明らかにされ、北関東の温泉地の全国的な位置付けがなされた。都市とその周辺地域に関しては、大垣を例に都市計画法による運河の計画・事業決定の経緯と地域社会の対応が解明され、明治・大正期の大阪市とその近郊において、通勤・通学が成立していく過程が明らかにされた。また長崎に関して、近代都市としての性格形成において、幾人かの企業家の長期的な履歴・空間行動(個人誌)が果たした役割が大きかったことが明らかにされた。植民地空間については、中国東北地方(旧満州)の調査・研究が実施され、1900〜1920年代の奉天省遼陽県では、商品の輸出入からみると、日本との結びつきよりも中国本国との結びつきが強かったこと、樺太に関しては、石炭業の停滞要因が交通社会資本整備の遅滞にあったことが明らかにされた。
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Research Products
(6 results)