2003 Fiscal Year Annual Research Report
タイ国水辺集落の伝統的環境共生様式と近代化変容に関する調査研究
Project/Area Number |
13371012
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
松田 博幸 近畿大学, 工学部, 講師 (80209569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲宗根 薫 近畿大学, 工学部, 助教授 (80340834)
井原 辰彦 近畿大学, 工学部, 教授 (50133541)
大森 豊裕 近畿大学, 工学部, 助教授 (60088599)
橋本 清勇 広島国際大学, 社会環境学部, 助教授 (50273470)
東樋口 護 鳥取環境大学, 環境情報学部, 教授 (50026366)
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Keywords | 国際研究者交流 / タイ / 水上住宅 / 水上集落 / 居住実態 / 抗上住宅 / ミャンマー |
Research Abstract |
本調査研究は、タイ国チャオプラヤ水系に展開する水辺集落(筏住居・杭上住居)における伝統的な環境共生様式と近代化変容の実態を明らかにするとともに、その住居改善方策を検討することを目的としている。本年度は、2つの主題を設けた。(1)タイのバンコクを対象地域として、そこに存在する2地点の水上住宅について、集落と住宅の様態、および居住者の居住実態を把握し、比較検討すること、(2)タイのピサヌロークを対象地域として、筏住宅から陸上住宅に移住した居住者を追跡調査し、住宅形態・居住実態を把握すること、である。さらに、ミャンマー・インレイ湖の水上住宅(杭上住宅)との若干の比較を行っている。 バンコク中心部からの距離が違う3地点の比較では、周辺環境において、違いを見いだすことができた。中心部から最も遠いA地点では、雨水を溜めて飲んだり、川の水で水浴びしたりしている。調査地がバンコク中心部に近くなるにつれて、水の使い方や水に対する意識も近代的な考え方になり、最も中心部に近いC地点では、全て水道水が利用されていた。この様に、距離が違うことにより、周辺環境の違いや生活意識の違いが明確に見ることができた。同じ水上住宅でも、周辺環境の違いや生活の仕方で意識の違いや習慣の違いを見ることができた。近代的な住宅に住む事や都市化された環境に身を置くことによって、生活スタイルも近代化されている。生活が近代化され住環境が向上することは非常によいことではあるが、伝統的な住宅や生活習慣が崩壊してしまう。両方の良い面を備えた新しい住宅や新しい生活スタイルが求められる。 ピサヌロークでは、筏住宅から陸上住宅に移住したことによって、急激に近代的な生活にシフトし、適応して、生活や住環境は向上し、満足そうにしている。筏住宅から移住する時に、解体したものを持ってきて、仕事場や玄関前の休憩スペース、台所といったとこに再利用しており、愛着やこだわり等を見ることができ、近代的住宅に伝統的住宅の面影を見ることができる。また、住宅が鉄筋コンクリート造になったために昼間は、暑く常に扇風機を回していなければならないので、住みにくいという問題点や洗濯機やガスコンロ等の充実により、光熱費がかさむといった問題も出てきている。この様に、筏住宅へのこだわりや、愛着、近代的な生活や住宅に移行したことによって生じている問題、伝統的な技術、知恵、生活習慣、バナキュラー住宅の維持保全といった面から考えて、近代的生活と伝統的生活、近代的住宅と伝統的住宅の両面の良さを兼ね備える事が必要となってくる。
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Research Products
(2 results)