2002 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国における林野管理の分権化・民営化をめぐる国際比較研究
Project/Area Number |
13372005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
増田 美砂 筑波大学, 農林学系, 助教授 (70192747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 祐彰 東京農工大学, 農学研究科, 助手 (60323755)
林 幸博 日本大学, 生物資源学部, 助教授 (90277400)
餅田 治之 筑波大学, 農林学系, 教授 (80282317)
上條 隆志 筑波大学, 農林学系, 講師 (10301079)
及川 洋征 東京農工大学, 農学研究科, 助手 (70323756)
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Keywords | インドネシア / 森林管理 / 中華人民共和国 / 林野管理 / 持続的森林経営 / NGO / インド / アグロフォレストリー |
Research Abstract |
山田は、インドネシア国西カリマンタン州において、森林保全と持続的森林経営、植林やアグロフォレストリー普及活動に携わるNGO 5団体の訪問調査を行った。現地駐在のJICA地域開発専門家から地方分権化に伴う森林の荒廃状況を、NGOによる持続的開発プロジェクト実施地域の共同体リーダーからその必要性や課題の聞き取りを行った。また、分権化過程で森林が乱伐され砂金採取により荒廃地と化した森林保護区に隣接した営林業会社がエンリッチメント方式で荒廃林再生を試みている事例を見出し、現地の責任者からその技術的展望及び限界について聞き取りをした。昨年に続き西カリマンタン州を調査し、全般的に森林破壊が進む中NGOによる持続的開発イニシアチブも成長しつつあることがわかった。及川および増田は、林野管理における分権化および民営化の動向を比較する上で、先駆的役割を果たしている南アジアを調査地として欠かすわけにはいかないとの考えのもと、インドのケララ州およびカルナータカ州を訪れた。その結果、1988年の国家森林政策とともに、インドの森林政策の目的は生産から全面的な保全へと大幅に転換し、地域住民の福祉のためにのみ、限定的な生産活動が認められていることがわかった。またその活動も、住民自らが担うべく、制度上の整備がすすめられていることが明らかになった。林は、インドネシア共和国西ジャワ・バンドン県・クルタサリ郡チハウク村の二つの部落周辺山地森林部について林野管理と森林利用の実態調査および森林隣接農村における環境調査を実施した。その結果当地の森林(植林地を含む)はバンドン県森林局の管理下にあるものの、実質的には近隣農民による自主管理に委ねられていることがわかった。植林地の林床の大部分は温帯野菜などが栽培されているが、これは森林局から植林活動への代償として林床利用が黙認されていると、農民たちは認識している。植林の際には、森林局から苗木が無償提供される場合と、部落単位で種子から育苗する場合の2通りがある。一方、林内の技木や枯木は薪として採集されているため、林木数の減少傾向が見られる。これが、乾季における湧水の枯渇を引き起こしている原因のひとつと考えられる。餅田は、中華人民共和国において天然林保護政策が実施された後の木生産の担い手における変化を、特に国有林企業および集体企業について調査した
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 三柴淳一, 増田美砂: "インドにおける林地の創出およびその役割の変化"筑波大学農林技術センター演習林報告. 19(in press).
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[Publications] 庄子加代, 増田美砂: "サバンナ帯における伝統医療と植生:ガーナの事例"筑波大学農林技術センター演習林報告. 18. 85-105 (2002)