2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13410048
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
蘭 信三 京都大学, 留学生センター, 助教授 (30159503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉石 一郎 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10345316)
山本 かほり 愛知県立大学, 社会福祉学部, 助教授 (30295571)
高野 和良 山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (20275431)
大久保 明男 東京都立短期大学, 文化国際学科, 専任講師 (10341942)
蘭 由岐子 賢明女子学院短期大学, 生活学科, 助教授 (50268827)
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Keywords | 中国帰国者 / 満州移民 / 満州開拓文学 / 中国定着の日系中国人 / 共生 / 中国帰国生徒特別枠入学試験 / アファーマティブ・アクション |
Research Abstract |
本研究の目的は、中国帰国者の日本社会における適応と共生に関する総合的研究であるが、本年度も、長野調査、関西調査、中国帰国生徒特別枠入試に関するフィールドワークを行った。 まず、(1)長野調査では、飯田下伊那での中国帰国者に関する調査で残留婦人や帰国者2世へのライフヒストリーインタビューや行政資料の収集分析を行うと同時に地元の人たちと共に長野で「満蒙開拓を語りつぐ会」を立ち上げその手助けを行い、協力して体験者の聞き取り作業を行ってきた。その特徴は、下伊那という満州移民を多数送出し、中国からの帰国者を多数受け入れてきた土地柄を反映し、極めて熱心に行われた。この活動は、ある種地域による地域の歴史の解釈活動であり、本研究グループの活動によって刺激された結果であるが、その独自な活動自体が分析対象でもある。 また、飯田市には中国帰国者だけでなく日系ブラジル人、フィリッピン人、そして中国からの農村花嫁がおり、その外国籍市民の生活実態についても調査した。 つぎに、(2)関西調査では中国帰国者身元引受人会と帰国者本人への調査を進めているが、主として帰国者の地域杜会における適応に関する調査を継続した。とりわけ集住地域である堺市における地域コミュニティと帰国者コミュニティの共生に関する調査を行ったが、その結果、堺市の中国帰国者の集住地域では様々な問題が生じており、ホスト社会との「認識の衝突」が多くな問題となりつつある。 また、(3)中国帰国生徒特別枠入試制度に関しては、本科研費グループによって9月に緊急シンポジウムを開催し、その意義と課題について集中的に論じた。そこでは、特別枠入試によって中国帰国生徒の高校進学や大学進学を大いに促進したことは確かで、本人・家族はもとより、帰国者コミュニティに関しても大きな貢献をもたらした。しかし、この制度は、文部当局によって全国的に実施されたのではなく、個別の自治体や大学の判断によって行われており、地域によっての特別枠へのアクセスに大きな差があり、不公平であることが判明した。したがって、本入試制度の意義をさらに進めるためには、文部科学省当局が統一的に制度化する必要があることを確認した。
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Research Products
(1 results)