2003 Fiscal Year Annual Research Report
「ニュース」「報道」番組の編制モードならびに言説の分析
Project/Area Number |
13410066
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
伊藤 守 早稲田大学, 教育学部, 教授 (30232474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 直毅 県立長崎シーボルト大学, 国際情報学部, 助教授 (10249675)
藤田 真文 法政大学, 社会学部, 教授 (60229010)
林 利隆 早稲田大学, 教育学部, 教授 (80238112)
田中 東子 早稲田大学, 教育学部, 助手 (40339619)
大石 裕 慶応義塾大学, 法学部, 教授 (40213623)
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Keywords | ニュース / ニュースのソフト化 / タブロイド化 / 言説分析 / マルチ・モダリティー分析 / メディアの言語 |
Research Abstract |
日本のニュース番組の特徴を分析した。分析対象は、民間放送のTBS、日本テレビ、テレビ朝日、フジテレビそしてNHKの5社で、夕方5-6時台のニュース報道番組、夜10-11時台のニュース番組である。分析の方法としては、従来の数量データによる分析手法は取らず、フーコーの言説概念を援用したフェアクローのディスクール・アナリシスとともにメディア研究の文脈で注目されはじめている「マルチ・モード分析」を採用して分析を行った。番組のなかの、政治報道、社会的事件にかんする報道、スポーツ報道など、多様な素材を分析した中から析出された第1の特徴は、いずれの番組でも「公的事象の会話化」とでもいうべき現象が見られる点であった。外交問題、国内の政治問題などのパブリックな争点が、日常世界の言葉で説明されている。それは、事柄の理解度を高める側面、情報の到達範囲を広げる側面をもつ。しかし他方で、この「会話化」の「わかりやすさ」という特徴は、事柄を極度に単純化して現代人の社会的認識力を疎外する側面もある。第2の特徴は、ナラティブとイメージの「ズレ」や非関連性が存在するにもかかわらず、映像や音声やサウンドのインパクトを高め、視聴者への感覚的刺激を高める技法が多用されていることである。テレビのマルチモード的特性が利用されるなかで、ナラティブ情報が表層化され、その局特有の視点からのメッセージ編制が見逃されかねない構成になっている。セネットは、現代文化の特徴を「親密圏の専制」と呼んだが、現在の日本のニュース番組の語りと映像の編制は、かれの指摘とかなり重なり合う特徴と問題を生み出しているということができる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 岡井崇之: "言説分析の新たな展開;テレビのメッセージをめぐる研究動向"マス・コミュニケーション研究. 64. 25-40 (2004)
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[Publications] 田中東子: "ジェンダー化された身体とスポーツ"マス・コミュニケーション研究. 62. 40-57 (2003)
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[Publications] 藤田真文: "コミュニケーションの政治学"慶應義塾大学出版会. 279 (2003)
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[Publications] 小林直毅: "テレビはどう見られてきたか"せりか書房. 229 (2003)
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[Publications] 林利隆: "いま、ジャーナリスト教育"東京大学出版会. 332 (2003)