2003 Fiscal Year Annual Research Report
中性子スピンエコー法による分子膜のゆらぎと膜形態の相関に関する研究
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13440119
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
武田 隆義 広島大学, 総合科学部, 教授 (70034593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸 秀紀 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60216546)
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Keywords | 中性子スピンエコー / ダイナミクス / 複雑液体 / 膜 / 両親媒性分子 / 脂質 / 中性子散乱 / 界面活性剤 |
Research Abstract |
1.中性子スピンエコー分光器の整備 (1)残留磁化型スーパーミラー偏極素子のテスト・検討を重ね、移設中のISSP-NSEの大幅な性能向上のため残留磁化型スーパーミラー偏極素子を用いたベンダーガイドポラライザーおよび大断面積アナライザの開発・整備を進めた. (2)ISSP-NSEの大幅な性能向上のため・大口径スパイラルコイルはじめ各種の補正コイルの作製法の開発を進めた。 (3)白色中性子ビーム対応のスピンフリッパーを新たに試作し、白色パルス中性子ビームを用いて性能テストを行い、パルス中性子の国際シンポジウムで発表した。 2.両親媒性分子を含む三元系複雑液体の温度・圧力誘起構造相転移とダイナミクス (1)脂質膜の波状運動のメカニズムを明らかにするために、リン脂質DPPC一水系に塩化カルシウムを微量加え膜間距離を80nm以上にした系でのISSP-NSEを用いた中性子スピンエコー実験から脂質2重層膜の曲げの弾性率の温度・組成依存性を求めて脂質2重層膜の波状ゆらぎに関るダイナミクスの研究をさらに進め、複雑系でのスローダイナミクの国際シンポジウムおよび複雑流体のダイナミクスの国際ワークショップで発表し、論文としてまとめた。 (2)リン脂質DPPC-水系にエタノールを加えた系での相図及び温度・圧力誘起構造相転移を中性子・X線小角散乱により調べ、新しい構造の存在を複雑流体のダイナミクスの国際ワークショップで発表し、論文としてまとめた。イオン性両親媒性分子AOT/水/n-デカン3元系についてISSP-NSEを用いた中性子スピンエコーおよび中性子小角散乱の実験に新しい解析法を適用し、変形運動の振幅の2乗平均及び膜の曲げ弾性率の温度・圧力依存性を初めて独立に求めることができ、論文として発表した。さらに、膜の曲げ弾性率の起源をミクロな観点から計算し、その温度・圧力依存性を議論し、複雑系でのスローダイナミクの国際シンポジウムで発表し、論文としてまとめた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Seto: "A swollen gel phase of DPPC aqueous solution with small amount of ethanol observed atmoderate pressure and temperature"Journal of Applied Crystallography. 36. 607-611 (2003)
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[Publications] T.Takeda: "Development of spin flippers with steady current for the TOF-NSE spectrometer"Physica B. 335. 211-214 (2003)
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[Publications] Y.Kawabata: "Temperature and pressure effects on the bending modulus of monolayers in a ternary microemulsion"Physical Review Letters. 119. 056103-1-056103-4 (2004)
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[Publications] T.Takeda: "Neutron Spin Echo Study on Slow Dynamics of Lipid Bilayers in the DPPC/D_2O/CaCl_2 System"Slow Dynamics in Complex Systems, Eds.M.Tokuyama and I.Oppenheim, AIP Conference Proceedings. (to be published). (2004)