2002 Fiscal Year Annual Research Report
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13440230
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大崎 直太 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70127059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 隆義 京都大学, 農学研究科, 助手 (60208189)
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Keywords | 警告色 / 隠蔽色 / ベーツ式擬態 / ミューラ式擬態 / カロチノイド / 適応度コスト / 色彩多型 / 捕食回避 |
Research Abstract |
研究代表者の大崎は、代表的なベーツ型擬態種であるシロオビアゲハを対象に、擬態型と非擬態型のカロチノイド含量を測定した。さらにカロチノイドの生理的負荷を明らかにするために、捕食者である鳥を排除した大型の放蝶ケージ内において擬態型と非擬態型の生存過程を比較した。その結果、予測通りに擬態型の生存率が非擬態型よりも低いことが明らかとなった。この結果は、擬態には捕食回避の効果がある反面、大きな生理的適応度コストをともなうことを示した。しかし、カロチノイド含量では両者の間にはっきりとした差は検出できなかった。擬態型はカロチノイドに由来すると考えられる大きな赤色斑紋をもつことから、この結果の解釈は困難であり、分析法の改善を含めさらに検討が必要であることがわかった。 研究分担者の西田は、ミュラー型擬態を示すホシカメムシ被食者-捕食者の系を対象として、体色と生息環境の色環境を携帯式の分光色差計によって測定解析した。その結果、被食者・捕食者ともに生息場所の色環境から目立つように微小生息場所を選んでいることがわかった。しかし、捕食者のほうが被食者よりもはるかに目立ちやすいことが分かった。この違いは、体色は定性的には似ているものの、捕食者のほうが平均的な反射率が遙かに高いことによって生じていた。また、被食者の体色の平均反射率は周囲の色環境とほぼ等しく、色覚を持たない捕食者にとってはむしろ隠蔽色として機能している可能性があった。これらの結果は、警告色か隠蔽色かは、被食者の体色と捕食者の色覚認知能力との相対的な関係においてはじめて機能すること、および両者の系が単純なミュラー型擬態ではない可能性を示唆するものと考えられた。
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[Publications] Matsuura, K: "Homosexual tandem runing as selfish herd in Reticulitermes speratus : novel antipredatory behavior in termites"Journal of Theoretical Biology. 214. 16-70 (2002)
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[Publications] Nishida, T.: "Population dynamics of an isolated population of the tropical pyrrhocorid bug, Melamphaus faber, feeding on seeds of Hydnocarpus trees and the specialist predator, Raxa nishidai in Bogor, West Java, Indonesia"Tropics. 10. 449-461 (2001)
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[Publications] Matsumoto, T.: "Fitness cost of parasitoid-avoidance behavior in the arrowhead scale, Unapsis yanonensis against the parasitoid wasps, Aphytis yanonensis and Coccobius fulvus"Entomologia Experimentalis et Applicata. 105・2. 83-88 (2002)