超音波原子間力顕微鏡による表面下の原子層の観察と操作

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13450017
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 山中 一司 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00292227)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 長 秀雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60296382) ; 三原 毅 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20174112)
• Keywords: 刃状転位 / 共振周波数 / 高減衰試料 / Q値制御 / 超音波原子間力顕微鏡 / 余剰原子面 / グラファイト / 2硫化モリブデン

Research Abstract

(1)内部欠陥の解析技術
内部原子面の観測と操作を行うため、本年度はまず内部原子面として刃状転位の余剰原子面に着手し、この解析技術を確立することを目指した。これまでの研究で確認した転位部の共振周波数の極小を与える荷重、その極小周波数、および極小位置の荷重による変化等は、転位の深さ、弾性および移動度等を複雑に反映するので、このデータから、転位の位置を抽出するのは困難だった。そこで、共振周波数の迅速映像化法を開発した結果、共振周波数の極小値を与える転位の位置が荷重により移動し、除荷により元に戻ることを見出した。
また、共振周波数が明瞭に見られない高減衰試料において、共振スペクトルのQ値を向上するため、本研究とな異なる目的を持つ非接触原子間力顕微鏡の分野で開発されたQ値制御手法を導入し、超音波原子間力顕微鏡に振動制御装置を増設してQ値制御をする場合に必要な解析技術を開発した。
(2)転位の操作
探針の応力により、転位に伴う余剰原子面を変形させ、この変形を探針に付加した超音波パルスによりピン止めして固定する技術を開発する。従来の研究で見出した転位が探針の静荷重のため張り出し、除荷すると再びもとの直線的な形状に戻る現象を、グラファイトに加えて2硫化モリブデンでも確認した。さらに、グラファイトの転位に応力又パルスを加え、炭素ネットワークの変形により転位をピン止めして、張り出した形で固定することを試み、1例成功した。再現性などは今後の課題である。

Research Products

• [Publications] K.Yamanaka, Y.Maruyama, T.Tsuji, K.Nakamoto: "Resonance frequency and Q factor mapping by ultrasonic atomic force microscopy"Applied Physics Letters. 78. 1939-1941 (2001)
• [Publications] T.Tsuji, K.Yamanaka: "Detection of the nano-scale subsurface defects by ultrasonic atomic force microscopy"Nondestructive Characterization of Materials. 213-220 (2001)
• [Publications] 辻俊宏, 入浜洋, 丸山祥輝, 中本圭一, 山中一司: "超音波原子間力顕微鏡による共振周波数とQ値分布の映像化"電子情報通信学会技術研究報告. 22. 73-80 (2001)
• [Publications] T.Tsuji, K.Yamanaka: "Observation by ultrasonic atomic force microscopy of reversible displacement of subsurface dislocations in highly oriented pyrolytic graphite"Nanotechnology. 12. 301-307 (2001)